〈筑豊びと〉金賞農家の米と米粉焼菓子のお店「千石屋」。宮若米を牽引する平尾孝市さん

〈筑豊びと〉金賞農家の米と米粉焼菓子のお店「千石屋」。宮若米を牽引する平尾孝市さん

みやわかの郷

WINGではこれまでにも宮若市で数々のお店をご紹介してきましたが、実は宮若市のお米が全国的にもとっても美味しいということをご存じですか?

今回はそんな宮若市のお米の魅力に迫るべく、お米農家さんを取材してきました!

 

現在も様々な品種のお米が育てられている宮若市ですが、その起源は江戸時代、黒田藩にお米を献上していたという逸話があります。昔から米所として農業が盛んに営まれてきたのです。

美味しいお米が育つ秘訣は、宮若市の清らかな水と恵まれた地勢(日照時間がお米の生育に適している地理的環境)、そして寒暖の差にあります。

そんな自然に恵まれたこの地で、日々努力を積み重ねる農家さんの技術と愛情によって、美味しいお米が毎年収穫されているのです。

 

平尾孝市さん

今回、宮若米の第一人者である平尾さんに取材させていただきました。

過去数々の賞を受賞し、現在は宮若うまい米コンクール実行委員会の会長も務めます。もちろんお米づくりも現役。合計13haにもなる複数の圃場にて、様々な種類のお米を栽培されています。

 

平尾さんのお米や、お米を使った米粉焼菓子が販売されている直売所「千石屋」。

こちらで詳しいお話を伺うことに。

 

現在宮若市ではうまい米コンクールが実施されていますが、どのようなきっかけで実施されるようになったのでしょうか?

きっかけは2015年、食味分析鑑定コンクール国際大会で初めての金賞受賞者が現れたことですね。受賞したのが友人だったのですが、私も何度も出品していただけに悔しい思いもありました。同時に、宮若のお米が全国に通用するという確信もありましたね。

そしてその翌年(2016年)宮若うまい米コンクールが開催されるようになりました。国際大会で実際に使用されている「食味計」と「穀粒判別器」を宮若市が購入して、全国レベルと同じ審査基準が宮若にも導入されたんですね。食味計だけでも500~600万円するほど高価で、持っている自治体も限られているんです。数値で審査できる環境が整ったことで、宮若うまい米コンクールが始まったということですね。

 

国際大会で2回、宮若うまい米コンクールで5回金賞をとった人しかもらえない「ダイヤモンド褒賞」

宮若のお米が全国に通用すると確信されたとのことですが、平尾さん自身にも何か変化はありましたか?

そうですね、私も2016年に念願のコンクール国際大会で金賞を受賞することができました。これはもちろん確信を持てたことも大きいのですが、当時育てる人が少なかった「実りつくし」という品種に挑戦したことも転機になったと思います。

にこまると元気つくしを親に持つ比較的新しい品種ですが、見た目や味、程よい粘り気があって全国のお米と十分に競っていける数値があったんですね。この実りつくしに出会ってから多くの賞を受賞するようになりましたし、とても美味しいお米だと自信をもっておすすめできます。

 

宮若のコンクールで金賞を受賞したお米だけが追い出し猫をあしらった白いパッケージで販売される

平尾さんは減農薬・減化学肥料栽培(福岡エコ認証)でのお米づくりをされているそうですが、お米のづくりに何かこだわりはありますか?

元々はお客さんの「美味しい」という声に応えるために個人でお米を育てていたんですね。そうした背景があるので、できるだけ味にこだわりたい。それで、自然と農薬や化学肥料は最小限にとどめるようにしています。

 

宮若市で唯一の黒米生産者だともお聞きしました。どのようなきっかけだったのでしょうか?

父の知り合いから少し分けてもらった種を植えて育ててみたことがきっかけですね。

 

お米として消費する量が少ないことから加工して使えないかと模索していました。

そんな中、思わぬ出会いから太宰府天満宮の梅ヶ枝餅に使用していただけることになって、食べた方からもかなり評判だったようで。今では毎月17日限定で黒米(古代米)入りの梅ヶ枝餅が販売されています。

他には、赤飯のように白米に混ぜて炊くと、紫色の見た目になってなかなか珍しいと思います。栄養価も高いのでぜひ食べてみてほしいですね。

 

千石屋の壁には小学生からの感謝の言葉が綴られている

数々の賞を受賞していく中で、現在は宮若うまい米コンクール実行委員会の会長も務められているそうですね。そうした立場で、後進育成などにも気にかけることは多いのでしょうか?

そうですね、特に小学生に対して興味を持ってもらうことは大切だと思っています。

私自身も毎年、種まきから収穫まで一貫してお米づくりを体験してもらう小学5年生の総合学習で、子ども達に様々なことを指導しています。種まきから実際に収穫して食べるところまで体験させているところは多くないので、子どもにとっては良い体験になると思いますね。

そして、そのお米もまたコンクール国際大会の小学生部門で審査されるのですが、昨年金賞を受賞しました。私が指導したお米が賞を受賞するのはやはりとても嬉しいことです。

 

千石屋の焼菓子はどのようなきっかけではじまったのでしょうか?

これも黒米が梅ヶ枝餅になった経緯と同じで、お米を食べる方が減っているからですね。お米としてではなく、米粉にしてお菓子に加工することで、食べてもらえる方が増えたら良いなということで始まりました。

アレルギーの方にも美味しく食べてもらえるように、できるだけアレルギー物質を使わない商品を心掛けています。特に小麦粉不使用のカステラは珍しいと思いますね。

 

豆乳焼ドーナツ 各種180円

千石屋名物、グルテンフリーで卵や乳製品も不使用の豆乳焼ドーナツ。

ふんわりと豆乳が香り、お米の優しい甘みも感じられます。

 

カステラ 千石焼 切落し 400円

こちらが米粉100%のカステラ 千石焼です。

想像以上のしっとり、ふわもち食感。自然な甘さでぱくぱく食べ進められます。

 

最後に、今後宮若市のお米をどのようにしていきたいか。何か目指しているもの、目標などあれば教えていただきたいです。

そうですね…“魚沼のコシヒカリ”のように全国的に名のあるお米になっていけるよう、宮若のお米をブランド化していくことが大きな目標ですかね。例えば、“宮若の実りつくし”のような感じで宮若の知名度や評判が広がっていけば嬉しいです。

福岡県内では宮若のお米が一番美味しいんじゃないかなと思っているので、この勢いを将来、次の世代に繋いでいくことも目標ですね。どうしても農家の高齢化が進んでいるので、若い世代に宮若のお米の魅力をどんどん伝えていきたいです。

 

今回は宮若のお米農家さんを代表して、平尾さんにお話を伺いました。

なんと、天皇陛下に奉納する今年の福岡県の献穀米における、粟の奉納者として選ばれているそう。

それほどまでに宮若の環境が良く、お米に対する評価が高いということだと感じました。

お米の収穫は早いところだとお盆明け頃だそう。今年も美味しい新米が皆さんのご家庭に届けられます。

筑豊が、いや福岡県が誇る宮若のお米を、消費者である私たちも守っていきたいですね。

 

Shop Information

千石屋

所在地 〒822-0152 福岡県宮若市沼口66-1

電話番号 0949-28-7244

営業時間 10:00~15:00

定休日 火・木・土・日曜定休

駐車場 あり

ウェブ 千石屋

今回の筑豊びと

平尾 孝市(ひらお こういち)

【受賞歴】

宮若うまい米コンクール2020~ 2年連続市長賞受賞

第20・22回 米・食味分析鑑定コンクール国際大会 都道府県選抜代表お米選手権部門 金賞

第19・21回 米・食味分析鑑定コンクール国際大会 都道府県選抜代表お米選手権部門 特別優秀賞

第19回 米・食味分析鑑定コンクール国際大会「実りつくし」における「プレミアムライセンスクラブ」ベストファーマー認定

第13回 日本一おいしい米コンテスト プレミアム部門 優良金賞

宮若うまい米コンクール2021 福岡宮若名稲会(ダイヤモンド褒賞)認定

他受賞歴多数

掲載内容は記事作成時の情報となります。

 

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