「乳がんの治療法」はご存知ですか?ステージ別の治療法・治療費用も医師が解説!

「乳がんの治療法」はご存知ですか?ステージ別の治療法・治療費用も医師が解説!

乳がんのステージ別の治療法

乳がんのステージ別の治療の流れについてご紹介します。

乳がん・ステージ1の治療法

ステージ1はしこりの大きさが2㎝以下で、リンパ節転移がない段階の早期乳がんです。まず、乳腺外科に入院し、手術を行います。乳房部分切除術の場合は、退院後に放射線治療に通院します。再発予防目的にサブタイプにあわせて薬物治療も行います。HER2陽性乳がんやトリプルネガティブ乳がんでは、手術の前に、抗HER2療法や化学療法などの薬物治療を行う場合があります。

乳がん・ステージ2の治療法

ステージ2はステージ1と比べて、しこりが大きい、または脇のリンパ節に転移がある状態です。ステージ1と同様に、乳腺外科に入院し、手術を行います。乳房部部分切除術の場合は、放射線治療に通院します。また、リンパ節に転移がある場合も放射線治療が必要になります。HER2陽性乳がんやトリプルネガティブ乳がんでは抗HRE2療法や化学療法などの薬物療法を手術に先行して、行う場合があります。

乳がん・ステージ3の治療法

ステージ3はステージ2と比べてリンパ節転移があり、しこりの範囲も広がっている段階です。中でもⅢB期とⅢC期は局所進行乳がんと呼ばれ、手術を可能にするために、まず薬物療法を行います。手術が可能になった場合は乳腺外科に入院して手術を行います。退院後、温存乳房または胸壁と周囲のリンパ節に放射線治療を行います。手術後も再発予防のための薬物治療を継続して行います。手術が難しい場合は、薬物治療を継続します。局所のコントロールのために放射線治療を行うことがあります。

乳がん・ステージ4の治療法

ステージ4はしこりやリンパ節転移の状況にかかわらず、がんが他の臓器へ転移している状態です。この段階では、薬による全身治療を行います。がんの治癒を目指すのではなく、がんの進行を抑え、症状を和らげ、QOLの良い状態で長期の生存を目指します。1つの治療を行って効果があるうちは続け、効果がなくなったら別の治療に変更します。基本的には乳腺科に通院して治療を行います。

乳がんの治療期間

治療期間は乳がんのサブタイプや進行度(ステージ)よってさまざまです。どのタイプでも手術後10年間は再発がないかチェックするために通院します。乳がんの治療で入院が必要なのは手術のみです。手術の方法によって、数日~10日間程度入院します。ホルモン受容体陽性乳がんの場合は、内分泌療法を5~10年間行います。HER2陽性乳がんは手術前後の化学療法と1年間の抗HER2療法を行います。トリプルネガティブ乳がんでは4~6カ月の化学療法と1年間の免疫チェックポイント阻害薬の治療を行います。手術ができない局所進行乳がんやステージ4の乳がんでは治療効果がある限り、治療を継続します。

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