祖母は若いころの病気が原因で左半身が不自由な上、膝を壊しており、あまり動くことができません。家の中の移動は主にハイハイ。手首がうまく曲がらないため、肘から指先まで全体を床に着けて、ほふく前進に近い形で移動しています。外出はほとんどしませんが、どうしても外出が必要なときもあります。ある日、祖母の外出をサポートしようと手をつないだところ、ある違和感に気付きました。
ある日、手をつないでみたら
普段の祖母の外出先といえば、定期的に通っている病院かデイサービス。病院のほうは介護タクシーを使用し、母が付き添っていました。デイサービスは施設のスタッフが家の前まで迎えに来てくれて、祖母は玄関から迎えの車までの距離を杖をつきながら歩いて移動していました。本当は車まで車椅子を使ったほうが安全で速いのですが、自宅前の通路が狭くて車椅子が通れないため、このような方法で移動することになっていたのです。
そんなある日、祖母が「歯が痛い」と言うので、歯医者さんに行くことになりました。運転できない母に代わり、私が車を出すことに。私の車は介護仕様にはなっておらず、歯科医院に到着後、助手席に座っていた祖母を車椅子に移動させるため手を貸したのですが、ふと違和感が……。触った祖母の左手が、何だか硬かったのです。そのときは「もしかしてこれも病気の影響なのかな」とあまり深く考えずにいたのですが、祖母宅に帰宅して、同じように手を貸した際に驚くことが起きました。私の手に当たった固い物が動いたような気配がしたのです。びっくりした私は、咄嗟に祖母の手を掴み、手の平を見てみました。そこにはなんと大きめのコブがあったのです。
手の平にあったコブの正体
祖母の左手はまひがあるため、通常ほんの少しだけ握ったような状態(手の平に置いた卵を軽く握っているような感じ)になっています。その親指の付け根の辺りに大きめの丸い物がありました。ピンポン玉より少し小さいくらいのサイズで、特に内出血などもありません。恐る恐る触れてみましたが、痛みなどはなく、触っても感覚がないと言います。試しに少し指で動かしてみたら、何となくそのかたまりが動きました。祖母本人も気付いておらず、初めて気が付いたと驚いていました。
慌てていつも見ていただいている主治医の先生に連絡を取って診てもらったところ、整形外科への受診をすすめられました。そして、翌日整形外科で診てもらった結果、そのコブの正体は「ガングリオン」というものだと判明。
多くは良性の腫瘤(しゅりゅう)で、中にゼリー状のものが詰まって膨らんでいるのだそうです。通常は大きくなると痛みやしびれ、動かしにくさなどで気付くそうですが、祖母の場合はたまたま不自由な左手のほうにできたために気付かなかったのではないかということ。ガングリオン自体はそのまま放置することもあるようですが、神経を圧迫している可能性もあるということで治療することになったのです。
配信: 介護カレンダー