「糖尿病と膵臓がん」の関係性はご存知ですか?膵臓がんの予防法も解説!【医師監修】

「糖尿病と膵臓がん」の関係性はご存知ですか?膵臓がんの予防法も解説!【医師監修】

早期発見・早期治療が重要となるがん治療において、初期症状が乏しい膵臓がんは発見が遅れやすいがんです。

腹痛などの症状を自覚する頃には、かなり進行している場合もあります。

また、膵臓には血糖値を下げるインスリンを分泌する機能があり、膵臓がんによってインスリンの分泌量が減少し糖尿病になる可能性もあるでしょう。

今回は、そのような膵臓がんのリスク因子と早期発見のポイントに触れながら、糖尿病との関係について解説していきます。

≫「膵臓がんを発症すると感じる痛みの場所」はご存知ですか?初期症状も解説!

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。

膵臓がんとは

膵臓がんは、膵臓から分泌される消化液が通る膵管に発生するケースが大半です。膵管は膵臓中に張り巡らされているため、膵臓がんは膵臓のどの部分にも発症するでしょう。膵臓は頭部・体部・尾部に分けられ、がんが発症する部分によって初期症状が異なります。
例えば、がんが膵臓の頭部で発症した場合、頭部のそばにある胆管ががんによって圧迫されやすいです。これにより、胆管を流れる胆汁の流れが悪くなり黄疸が出現しますが、身体の色が黄色になる黄疸は異変を察知しやすい症状のため、それが早期発見につながります。
逆にがんが膵臓の体部や尾部で発症した場合、黄疸の症状が出現しにくいので発見が遅れがちになります。

糖尿病と膵臓がんの関係

膵臓にはインスリン分泌能が備わっているため、がんによって糖尿病が急に発症するケースもあります。
また、糖尿病を患っている方ががんの発症によって急に血糖コントロールを乱すこともあり、膵臓がんと糖尿病には密接な関係があるのです。

糖尿病から膵臓がんを発症するケース

糖尿病は膵臓がんの危険因子とされ、糖尿病を発症していない健康な方よりも2倍程膵臓がんのリスクが高いと報告されています。
特にインスリンの抵抗性が高まる2型糖尿病では、インスリンの分泌量が多くなることでインスリンを産生する細胞の増殖が進み、結果的にがん細胞が発生するリスクが高くなるでしょう。

膵臓がんから糖尿病を発症するケース

膵臓にはインスリン分泌機能が備わっているため、膵臓にがんが発症した場合はインスリンの分泌能が落ちてしまい糖尿病を発症してしまうことがあります。
この経過によって発症する糖尿病は1型糖尿病に分類され、低下したインスリンの分泌を補うためにインスリンを注射する治療が必要です。

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