「糖尿病と膵臓がん」の関係性はご存知ですか?膵臓がんの予防法も解説!【医師監修】

「糖尿病と膵臓がん」の関係性はご存知ですか?膵臓がんの予防法も解説!【医師監修】

糖尿病以外の膵臓がんのリスク因子

糖尿病以外の膵臓がんのリスク因子は以下の5つです。

遺伝

飲酒・喫煙

肥満

慢性膵炎

加齢

膵臓がんのリスク因子は、遺伝性の先天的なものから肥満など生活習慣に関わるものまで幅広くあります。
それぞれの因子がどのように膵臓がんの発症に関わっているのか、順番に解説していきます。

家族歴

日本人における家族性膵臓がんの関連遺伝子としてATM・BRCA1・BRCA2・PALB2などが関連していることが報告されています。
親子または兄弟姉妹に2人以上膵臓がんを発症している方がいる場合、遺伝が関連しているかもしれません。

飲酒・喫煙

喫煙自体が膵臓がんの発症リスクを上げるという見解は、多くの報告でほぼ一致しています。1日の喫煙本数にもよりますが、特に40本/日以上吸う男性の場合、死亡リスクを3.3倍にまで高めるでしょう。
次にアルコールですが、膵臓がんのリスク因子としては報告によって異なります。しかし、エタノールとして37.5g以上については、膵臓がんのリスク因子として報告されています。

BMI値・肥満

20歳代でBMIが30以上の男性では、膵臓がんの発症率が3.5倍増加したと報告されています。
しかし、BMI値と膵臓がんの間に相関関係はないといった報告もあり、明確な相関関係は明らかになっていません。

慢性膵炎などの膵臓疾患

慢性膵炎に罹患している方の膵臓がんリスクは13.3倍ともいわれており、膵臓がんの大きなリスク因子です。
また、慢性膵炎は遺伝性のものもあり、この場合の膵臓がんリスクはさらに高まることが報告されています。

加齢

膵臓がんの発症頻度は加齢とともに上昇し、50歳以上になると急増します。しかし、発症頻度としては決して高い方ではありません。

早期発見のポイントと予防法

膵臓がんの予防法としては、まず生活習慣の見直しから始めることがおすすめです。費用をかけずすぐにできるだけでなく、喫煙や多量飲酒を控えることでほかの病気のリスクも下げることができます。
また、膵臓がんを早期発見するためには定期的に腹部超音波検査・MRI検査を行い、短いスパンで膵臓全体を評価することが必要です。

人間ドックを利用する

人間ドックのなかで膵臓がんを早期発見することに特化したのが膵癌ドックです。腹部超音波検査やMRI検査だけでなく、血液検査や超音波内視鏡検査なども行うことができます。
特に、超音波内視鏡検査は膵臓がんを高感度で検出することができ、膵臓がんの診断に関しては有用です。

血糖自己測定器や薬局で血糖値を測る

膵臓がんにより1型糖尿病を発症した場合、インスリンだけでなく血糖自己測定器も導入されます。これは、低血糖を防ぐために定期的に血糖値を把握する必要があるからです。
血糖測定器は薬局に置いているところもあるので、糖尿病や膵臓がんの診断を下されていない方も、一度自分の血糖値がどのくらいなのか測定してみましょう。

食事・運動に気を配る

これまでお伝えしてきたとおり糖尿病や肥満は膵臓がんのリスクを高めます。このような糖尿病や肥満は、暴飲暴食・運動不足など不摂生な生活習慣が原因の1つです。
こうした生活習慣の改善はすぐに実行でき、いろいろな疾患の発症リスクを抑えることができるのでぜひ取り入れてみてください。

飲酒・喫煙を控える

飲酒や喫煙はそれぞれ膵臓がんを発症する独立した危険因子とされ、体に取り入れる量によってリスクが変動することが報告されています。飲酒や喫煙を一切断つことはなかなか難しいので、少しずつ量を減らしていくことから始めてみましょう。

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