「胃がんステージ4の余命」はご存知ですか?症状・治療法も解説!【医師監修】

「胃がんステージ4の余命」はご存知ですか?症状・治療法も解説!【医師監修】

胃がんステージ4の治療方法

胃がんのステージ1~3までは手術(内視鏡または開腹手術)で根治を目指す治療が行われます。
しかし、ステージ4の胃がんに対しては、一部例外を除いて化学療法や放射線治療が原則です。それぞれの治療法を解説していきます。

化学療法

化学療法(薬物療法)が選択されるのは、ステージ4の胃がんのように転移巣が少なくない進行がんや再発がんを、手術では取り切れない場合です。
また、手術後の再発防止目的や、リンパ節の転移状況によって手術前に補助的に行う場合もあります。進行がんの治療ではあらかじめ使う薬を何とおりも決めておき、最初の薬が続けられなくなれば次の薬に代え、それが効かなくなればまた次の薬を出すような波状攻撃をかける方法が標準です。

放射線治療

進行した胃がんに対する放射線治療は、補助的な治療になります。胃がんの細胞はあまり放射線に反応しないことと、周辺臓器が放射線に弱いためです。
例えば骨転移で痛みが強い場合の緩和目的や、病巣からの出血を抑制する目的などで使われます。

免疫療法

免疫療法は、免疫細胞の中のT細胞ががん細胞を攻撃する性質を利用します。がん細胞がT細胞に自分を攻撃しないように出す指令を届かなくしたり、攻撃性を強化したりしてがん細胞を排除する仕組みです。
チェックポイント阻害薬を使う方法と、T細胞を加工して攻撃力を強化する方法があります。ただ、効果が証明された治療法はまだ少ないのが現状です。

緩和療法

緩和療法は支持・緩和医療や緩和ケアとも呼ばれ、がんの直接的な痛みや苦しみに加え、家族も含めた不安・悲しみ・ショックなどの苦しさを緩和するのが目的です。
緩和ケアは不安や心配など気持ちのつらさに対応するもので、看護師・ソーシャルワーカー・理学療法士などの専門職がチームで担当します。
支持療法は、胃がんで狭くなった食物の通路をステントで確保したり、大量の腹水を穿刺で減量したりして苦痛を和らげる治療です。

胃の切除・バイパス手術

ステージ4では本来手術は行いませんが、切除できない肝臓転移やリンパ節転移があった場合、腫瘍量を減らして延命をはかる目的で胃を切除(減量手術)する場合があります。
また、胃がんが大きくなって出血や食物の通過障害がある場合に、新たな通路を造設する手術(バイパス手術)が行われることもあります。
いずれも根治手術ではなく、患者さんの苦痛を取り除くための手術です。

胃がんステージ4の症状

胃がんが進行してステージ4になると、胃から離れた臓器に転移が見られます。
転移巣の症状に加え、胃の原発巣も大きくなって初期には目立たなかった症状がいくつも出てくる段階です。
ステージ4で見られる主な症状を解説していきます。

転移による症状

ステージ4は遠隔臓器への転移が特徴的です。
病状が進んだ状態なので、元々の胃がんの症状が出ているうえに、転移先の臓器でもその臓器に特徴的な症状が加わります。
例えば肝臓に転移した場合は肝機能の低下や黄疸などの症状が現れるし、腰椎・骨盤に転移すると腰痛が出ます。

食欲不振・体重減少

胃がんが進行すると、食べ物を消化したり吸収したりする機能が低下します。それに脳が反応しておこるのが、食欲がなくなったり吐き気が出たりする症状です。
また、がんが大きくなって食物のとおりが悪くなることでも吐き気や食欲不振が現れます。食事が充分に取れない状態が長期間続くため、進行した胃がんでは大幅な体重減少が特徴的な症状です。

排尿障害

胃がんの進行でおこりやすいのが腹膜播種です。がん細胞が腹膜に散らばった状態で、炎症によって体液が腹膜から滲出して腹腔内に溜まり、腹水になります。
この影響で腹部の膨満感やむくみとともに、排尿障害がおこる可能性があります。

腹痛

進行した胃がんでは強い上腹部痛が特徴です。がんの影響で胃の内面がただれておこる痛みで、みぞおち周辺が痛みます。
胃がんの症状ではこの上腹部痛がよく見られる代表的な症状です。痛みは胃潰瘍や逆流性食道炎の症状とよく似ており、痛みだけでは区別できません。

吐血・貧血

胃がんになると胃の粘膜はがん組織に変わります。がん組織が新しく作った血管は出血しやすい性質で、進行につれて出血が始まります。
見えてくるのが嘔吐物に血が混じる吐血や黒い便が出る下血の症状です。この状態が続くと貧血の症状が現れます。
身体に栄養を補給できなくなり、全身的な衰弱が見られることも少なくありません。

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