「お母さん許さない」息子から‘’元彼女が隠れて出産していた‘’と聞き憤る母。その後交わした言葉とは/『海のはじまり』

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子供連れ再婚した月岡家と海との対面


一方、月岡家と海はいよいよ対面を果たす。大和と海、それぞれにカメラがぐーと寄っていくことで、互いが互いを注目しているのがわかる(今週の演出はチーフの風間太樹)。

月岡家の場合は、子供連れの再婚で、夏と和哉、ゆき子と大和は、血のつながりはないながら法律ではつながっている。大和は血のつながっていないゆき子と関係性は友好だが、「お母さん」(亡くなった母)と「ママ」(ゆき子)と呼び分けていて、その秘密を海と共有する。

血がつながった人もつながってない人も混ざって新しい家族へ

終盤は、畳み掛けるように髪、髪、髪。弥生は美容サロンに行き、見知らぬシンママが美容師と話している内容を小耳にはさむ。ここにもまた、美容に使える時間もお金も潤沢ではない人がいる。


津野くんは自宅ソファの隙間に海の髪ゴム(冒頭の回想でつけていたもの)を見つける。海は津野くんの自室にも来ていたのだと思うと、同情を禁じえない。津野くんは夏と比べて、髪を結うのもドライヤーをかけるのもたぶん巧いだろう。

南雲家では、夏が海の髪にドライヤーをかけている。ものすごーく距離をとっておそるおそる乾かしている夏に、朱音も、海も、じりじりしている。他者との距離を異常なまでに取ってしまう夏はなんて不器用なのだろうか。

だが、それでも楽しい我が家。4人分のおコメを何合炊くか翔平はわからない。たぶん、はじめての4人暮らしなのだろう(水季がいたときは3人暮らし)。朱音と翔平は未知なる4人分のおコメを炊く生活にわくわくしている。

弥生はひとり、自室で、海の好きなコロッケづくりを練習している。海の好きな「すみっコぐらし」の絵本も準備して。血がつながった人もつながってない人も混ざって新しい家族の形ができはじめているのだ。そこに津野くんも入れてあげてほしい。

ところで、ゆき子は、夏の父は「どっかで元気にしてるでしょ」と言っていた。血のつながった夏の父はそのうち出てくるだろうか。そうなったらそうなったでまた一波乱ありそうだが。

さて、「髪」のつぎは何(なに)?

<文/木俣冬>

【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami

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