「ほとんど」の場合、抜歯が必要
親知らずが生えてくると、ほとんどのケースで抜歯が必要となります。「ほとんど」という言い方になっている理由は、ごくまれに親知らずが正常に真っすぐに生えて、上下の噛み合わせも問題がない場合があるからです。そんな親知らずなら正常な奥歯の機能を有している、第三大臼歯としての利用が可能です。また、真っすぐな生え方でなくても、隣の歯である第二大臼歯に悪影響を与えないのであれば、無理に抜歯する必要はありません。
つまり、全ての親知らずが抜歯対象となるのではなく、数少ないケースとなりますが抜歯が必要ない親知らずもあるので「ほとんど」とのいい方をしているのです。では、「ほとんど」の場合、親知らずを抜歯すれば何の問題もないのでしょうか。
親知らずを抜歯後に起きるトラブル
痛みや腫れのトラブル
実は、親知らずの抜歯後にはいくつかのトラブルが発生することがあります。まずは抜歯後に起きる、痛みや腫れのトラブルです。親知らずの抜歯は手術となるために、局所麻酔を施した後に切開して抜歯を行います。麻酔が切れてくると炎症反応として痛みや腫れが生じます。痛みについては抜歯した当日にピークを迎えてその後、徐々に治まってきます。個人差はありますが、おおむね1週間を過ぎたあたりからは痛みは感じないでしょう。
また、腫れの程度も個人差があり酷い時には口が開かないくらい腫れたり、噛むことができなくなったりするケースもあります。この腫れも、痛みと一緒に日が経つにつれて治まっていくので、そんなに心配しなくても大丈夫です。
術後感染のトラブル
しかし、親知らずを抜歯した傷口に細菌が感染して起こる、術後感染もあり得ます。予防するには術後に処方される、抗生剤の服用をきちんと行うことが重要となります。さらに、口腔内を清潔に保ち傷口に細菌が入らない環境づくりが大切です。万一、細菌に感染してしまっても、歯科クリニックで処方される抗生剤を服用すれば症状は治まるので大丈夫です。
麻痺やしびれのトラブル
親知らずの抜歯後に、麻痺やしびれが起きた場合は、下歯槽神経(オトガイ神経麻痺)が疑われます。これは、下あごの親知らずを抜歯した際に神経を傷つけることで発症してしまうのですが、偶然発症してしまうので予想できません。親知らずの抜歯時には、下歯槽神経を傷つける恐れがあるため、歯根と歯冠を分割してから抜歯しますが、それでも神経を傷つけることがあります。
麻酔が切れても過敏な痛み、舌の痺れ、会話のしづらさなどがあれば、直ぐに歯科クリニックに相談しましょう。
配信: 医科歯科健診コラム