近隣住民による騒音やゴミの放置が発生した場所などをネット上で公開、共有するサイトがある。
そのサイトでは、地図上に印がつけられ、「子供がうるさい」「入居者のマナーが悪い」などというコメントが一緒に書き込まれている。
部屋番号までは分からないようになっているものの、地図を拡大するとどの物件かが判別できるものもある。
中には、外国人や生活保護受給者などを敵視するような内容も確認された。
弁護士ドットコムには、利用者とみられる方から「サイトに書いたカキコミで訴えられることはあるのか?」という相談が寄せられている。
こうしたサイト自体に法的問題はあるのか。また、書き込んだ人が罪に問われたり訴えられたりすることはあるのか。
インターネットの問題にくわしい中澤佑一弁護士に聞いた。
●嫌がらせ虚偽投稿は不法行為の可能性も
まず、「物件オーナー」との関係について、法律的な観点から言えば、物件が特定できる形であっても苦情を書き込むこと自体は違法ではないと思われます。
もっとも、嫌がらせ目的で虚偽の内容を投稿したり、過度に誇張して投稿したりするなどの場合には、物件オーナーに対する不法行為が成立する可能性はあります。
次に、苦情の対象になっている「隣人」との関係では、個人特定ができるような情報が記載されない限りは違法にはならないでしょう。
個人が特定できる形の場合、通常の名誉毀損やプライバシー侵害と同じく、内容の真実性や公開する必要性などから違法性が判断されます。
苦情の投稿に正当な理由がなければ名誉毀損罪や民事上の損害賠償請求が認められる可能性があります。
【取材協力弁護士】
中澤 佑一(なかざわ・ゆういち)弁護士
発信者情報開示請求や削除請求などインターネット上で発生する権利侵害への対処を多く取り扱う。2013年に『インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル(中央経済社)』を出版。弁護士業務の傍らGoogleなどの資格証明書の取得代行を行う「海外法人登記取得代行センター Online」<https://touki.world/web-shop/>も運営。
事務所名:弁護士法人戸田総合法律事務所
事務所URL:https://todasogo.jp/
配信: 弁護士ドットコム