「声が出ない…」ネットで追い詰められて不安症になった私と、夫の支え/犬山紙子

「声が出ない…」ネットで追い詰められて不安症になった私と、夫の支え/犬山紙子

 夫婦関係がうまくいかない…と悩んでいませんか?でも「100%うまくいってる夫婦」なんて存在しない気もします。

「夫婦はそもそも他人。“問題があること”を前提に、どうリカバリーするかが重要だと思います」と言うのは、エッセイストの犬山紙子さんです。犬山さんが自身の体験、そして多くの夫婦を取材してわかった「リカバリーのヒント」とは?

(以下は犬山さんの著書『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』を再構成したものです)

ネットで追い詰められて2回不安症に

●犬山紙子×劔 樹人夫妻のケース

劔(うつ状態)、犬山(不安症)がどのように互いと向き合い支え合ってきたのか、対談しました。今回は、私の不安症の体験です。

犬山:私の不安症は1度目は結婚後、夫がうつ状態になる前です。それはネットが理由だったんですけど、声が出なくなっちゃったんですね。まったく出ないわけではないのですが、声を出すのにものすごく気力がいる、そしてずっと動悸がしているような状態です。

さすがに声が出ないのは仕事にも支障が出るのですぐ事務所に連絡して、1週間ほど様子を見ても改善しなかったので心療内科に行き、このときは服薬治療で2か月程度で治りました。

2度目は2019年の5月ごろ。児童虐待防止の活動をするなかで「どうにかして亡くなる子どもを減らしたい」という気持ちが強くあったんです。ですがコメンテーターのお仕事をするなかで自分自身の力不足を感じたり、「なんでこんな適当な情報を流すの?」という怒りを感じたり、つらいニュースで涙が止まらなくなってしまったりという状態になり……。

そして、今回もまたネットでさらに追い込まれて。私の発言が拡散されて大量のレスが返ってくることがストレスでした。いいものも悪いものも“刺激”ってストレスになるんですよね。するとまた不安症になりまして。

この時は、早朝にものすごい動悸で目が覚めるという症状。「なにか取り返しのつかないことをしたんじゃないか、自分のせいで子どもたちに迷惑をかけてるんじゃないか」という思いが拭いきれないほど強くなっていって。もう仕事もやめたくなって、事務所にもそんな話をしてました。

でも「この感じは不安症だ」と自覚はできていたのはよかったと思います。事務所にも「私が言ってることは不安症という状況下での発言です」と混乱のないよう伝えることもできました。

SNSの通知を切って脳を休ませた

――2度目の治療は具体的にどうやって行ったんですか?

犬山:服薬治療と、カウンセラーさんに話を聞いてもらったことで、4か月くらいで大丈夫になりました。SNSの通知を切ったりと脳を休ませる方法も勉強したりして。

そのときは夫も自分を責めている状態だったから、夫に不安をぶつけたくないなあという気持ちがあったんです。そんな気持ちもカウンセラーさんに聞いてもらってましたね。

劔:性格的に彼女は喜怒哀楽がすべて表に出るほうなので、つらいんだろうなというのは僕も感じました。かわいそうでしたね。でも自分は何もしてあげられないんじゃないか、むしろ自分が悪いんじゃないかって気持ちになっていて……。


――そのころ、劔さんはどんなしんどさを感じていたんですか?

劔:僕はデフォルトでダメなのがしんどかったですね。彼女はいいとき悪いときがあるのに、自分はずっとダメ。「不平等だな、自分は役に立たないな」という感覚はありましたね。そこでちゃんと彼女を助けられたら自分にとってもプラスになると思うんですけど……。

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