「肺がんの生存率が低い理由」をご存知ですか? 原因・早期発見のポイントを医師に聞く

「肺がんの生存率が低い理由」をご存知ですか? 原因・早期発見のポイントを医師に聞く

なぜ肺がんの生存率が低いのか 生存率を上げるためにできることは?

編集部

肺がんの生存率は、ほかのがんと比べて低いと聞きました。その理由は何なのでしょう?

宮澤先生

理由としてはいくつかあります。
①早期発見の難しさ
先ほども述べたように肺がんは初期症状がほとんどないため、発見時には既に進行していることがほとんどです。
②治療の困難さ
進行した肺がんの場合、一般的に手術の適応はなく、治療の選択肢が内科的治療に限られます。
③転移の頻度が高い
肺がんはほかの臓器に転移しやすい性質があります。転移があると治療がより困難となり、生存率が低下します。
④診断技術の限界
ほかのがんに比べて、肺がんの早期診断に特化した技術や手法がまだ限られています。乳がんのマンモグラフィや大腸がんの内視鏡検査のような効果的なスクリーニング方法が十分に普及していないため、早期診断が難しいのです。
⑤年齢層
肺がんは高齢者に多くみられます。高齢者は肺がんだけでなく、ほかの健康問題を抱えていることが多く、これが治療の効果や耐性に影響を与えるため、生存率が低くなる要因となります。

以上の要因が組み合わさり、肺がんはほかのがんと比べて生存率が上がりにくい状況を生んでいます。

編集部

肺がんの生存率を上げるためにはどうしたら良いでしょうか?

宮澤先生

早期発見、早期治療ができれば生存率は大きくアップします。早期発見のためには、症状が出る前の定期的ながん検診が重要になります。

編集部

やはり、早期発見が大事なのですね。

宮澤先生

そうですね。しかし、肺がんの治療も年々進歩しており、すでに肺がんと診断された患者さんにも明るい兆しが見えています。遺伝子変異の検出が簡便になってきていることで分子標的治療薬に繋げやすくなってきていますし、遺伝子変異が陰性の場合でも免疫治療が奏功する可能性があり、奏功した場合は進行期でも大幅な改善が期待できます。

編集部

最後に、MedicalDOC読者へのメッセージをお願いします。

宮澤先生

一言で「肺がん」と言っても、進行状況や病状、社会的環境(ご家族や仕事、お住まいの地域)など置かれている状況は一人ひとり違います。自身の命に対する考え方も一人ひとり違うはずです。先述した通り、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など肺がん治療の選択肢も増えつつあります。おまかせで治療を受けるのではなく、患者さんご自身も積極的に勉強し、専門家である医師から解説してもらい、自らの価値観や状況にあった肺がん治療を納得して受けていただきたいと思います。

編集部まとめ

肺がんの診断や治療について解説していただきました。肺がんは、定期的な検診を受けること、そして異変や不調に気づいたら早めに医療機関で検査を受けることが重要です。また、診断後の治療法も増えてきており、一人ひとりが納得して、自分に最適な治療を選択することで、より良い結果が期待できるようになってきています。自分の体なので、しっかりと考え、検査や治療を受けるようにしましょう。

近くの呼吸器内科を探す

関連記事: