「スター・ウォーズ」のデイジー・リドリーが公表したバセドウ病の症状とは? 検査・治療法も解説

「スター・ウォーズ」のデイジー・リドリーが公表したバセドウ病の症状とは? 検査・治療法も解説

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で主演のレイ役を務めたデイジー・リドリー(32)が、バセドウ病であることを公表しました。バセドウ病は、発症すると身体的症状として動悸、体重減少、手の震え、発汗など、また精神的症状として、イライラ、落ち着きの無さなどの症状が現れます。また、心不全や骨粗しょう症に繋がるリスクが高い疾患ですので、早期発見、早期治療が重要です。ここでは、バセドウ病について、症状、検査・診断、治療法について、医師の武井智昭先生に解説してもらいました。

※この記事はMedical DOCにて【「バセドウ病」とは?症状・原因についても詳しく解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

≫【イラスト解説】バセドウ病などの甲状腺疾患になりやすい人の特徴

監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

バセドウ病の症状

バセドウ病とはどのような症状ですか?

バセドウ病を発症すると甲状腺ホルモン(全身の臓器に作用して新陳代謝を促進する)と、カテコールアミン(交感神経の働きを活性化する)の分泌が過剰になります。
この結果身体症状(動悸、体重減少、手の震え、過剰な発汗、下痢など)と精神症状(イライラ感、不眠、落ち着きの無さ、疲労感など)が現れます。

症状

バセドウ病の症状は、どのようなものですか?

バセドウ病の症状は、甲状腺ホルモン、カテコールアミンの過剰分泌によるものです。甲状腺ホルモンは全身の臓器に作用し新陳代謝を促進し、カテコールアミンは交感神経を活性化する働きがあります。
この結果、身体症状として、動悸、体重減少、筋力低下、手の震え、暑がり、過剰な発汗、軟便、下痢、女性で生理が止まるといった症状が現れます。精神的症状としては、イライラ感、不眠、落ち着きの無さ、疲労感などが見られます。
また、喉ぼとけのすぐ下にある甲状腺が過度に刺激されるため、大きく腫れることによって、喉の違和感が生じます。
バセドウ病の典型的な症状として知られる眼球突出は、目を動かす筋肉や脂肪の炎症による腫れが原因で起こります。眼球突出が悪化することで、まぶたや結膜の充血、目の動きの異常、ドライアイなどが発生します。
また男性によく見られる症状として周期性四肢麻痺があり、炭水化物の多い食事をした後や運動後に手足が突然動かなくなる発作が起こります。
バセドウ病の適切な治療が無い状態が継続すると、心臓への過度な負担により不整脈や心不全の発症、骨の代謝が活発になることに起因する骨折などのリスクが高まります。早期の適切な治療が大切です。

バセドウ病の原因

バセドウ病の原因はどのようなものですか?

通常甲状腺ホルモンは、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺の細胞表面にあるTSH受容体と結合することで甲状腺を刺激した結果として分泌されます。
バセドウ病で起きる甲状腺ホルモンの過剰分泌は、TSHではなく、TSH受容体抗体がTSH受容体に結合し、甲状腺を過剰刺激することによって、起こります。このTSH受容体抗体の産生メカニズムは不明ですが、遺伝や体質的な要因に加えて、過度なストレス、過労、重篤な感染症、妊娠、出産などを契機として発症することが多いとされています。

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