満腹でも食べてしまうのは脳のせい?
お腹がいっぱいになったらピタッと止められる人と止められない人の違いはどこなのかということについて、1つの研究結果が報告されています。
ノースウェスタン大学の医学部の研究で、食事を取るという行動をコントロールしているのがどこなのかを見た際、2つの脳の領域の間に新しく見つかった構造的なつながりがあり、それが摂食行動に影響を与えていることが発見されました。
その2つの領域の1つは嗅結節。嗅覚系の情報処理を行う脳の裏側にある領域です。もう1つは中脳後頭葉周囲灰白質(PAG)で、脳幹の真ん中にあります。
嗅結節は嗅覚に関する脳の報酬系で、「これを摂ればいいことが起こるよ」といったことを刺激する場所です。
PAGは逆に、脅威や痛みなどのネガティブな感情への反応を元にして行動を起こす部分に影響を与えます。潜在的には食べることを抑制してくれたりするので、そこが微妙につながり合ってバランスを取っています。
空腹のときに食べ物の匂いを嗅ぐと食欲が増して食べたい欲求が出てきます。満腹になってくると同じ匂いを嗅いでもそれほど魅力的に感じなくなってきます。
匂いは食べるという行動の動機づけを起こすのに重要なのです。
匂いに対する感度は空腹の程度によって左右されますが、嗅結節とPGAのつながりが弱い人はどうしても食べすぎてしまう傾向にあります。
このつながりが弱い人は、BMI測定でも体重が重いということも発見されています。
“脳のつながり”を意識しておくことが重要
この2つの間の脳の回路が壊れていて信号が混乱していると、満腹であっても食べ物の匂いが報酬のように感じて食べたくなる。
報酬という食べることの利益と行動を抑制する部分の健全なネットワークがちゃんとつながっていることがすごく重要なのです。
満腹になれば、通常は食べることはあまり気持ちいいことではないと脳が働きかけます。そのメッセージを受け取ることで食べるという行動を止められますが、脳のつながりが弱いと止められないので食べすぎてしまいます。
例えば、「アイスクリームは別腹」と言って、満腹だけどアイスクリームは食べたい人。そういった人が満腹の刺激に対して摂食の行動を止められなくなっている可能性もあります。
人によっては、デザートの見た目や香りが、満腹の刺激の信号よりもより強い刺激に感じてしまい、満腹であっても食べてしまう。通常は満腹だったら止めるところが抑えが効かなくなることも起こり得るのです。
だから、最初から脳のつながりを意識しておくと過食が起こりにくくなるので、脳の機能をいかに正常に保っていくかがすごく重要でしょう。
配信: クックパッドニュース