ちょっとの工夫で
1・2・3歳の「食べない」を解決!
子どもが思うように食べてくれないと、イライラしてしまいがち。そんなときは、どうすればよいのでしょうか。「食べない」ときの解決法や保育園の給食づくりで工夫しているポイントを、管理栄養士がアドバイスします!
※この記事は小学館「ベビーブック 2024年9月号」の内容を掲載しています
教えてくれたのは… 藤原朋未先生
管理栄養士、乳幼児食指導士。保育園栄養士として勤務した後、現在はレシピ開発を手がけるほか、乳幼児食に関するセミナー講師などを務める。3児の母。
サポートが必要な時期
まずは、楽しい雰囲気づくりを
離乳食が完了する頃の子どもたちは、食べられるものの種類は増えますが、まだ大人と同じ硬さや味つけのものを食べられるわけではありません。食べやすい大きさに切ったり、濃い味つけをする前に取り分けたりするなどの大人のサポートが引き続き必要な時期です。「何でも好き嫌いなく食べてほしい」「こぼさずにきれいに食べてほしい」といった、おうちの方の期待が高すぎると、食事の時間がピリピリした雰囲気になってしまうことも。まずは楽しく食べることを第一に考えましょう。
親子で一緒に食べる
時間を大切に
食事は栄養補給の時間であるのと同時に、家族のコミュニケーションの時間でもあります。子どもが食べるときはおうちの方もなるべく一緒に席につき、「これは何かな?」「おいしいね」と話しかけながら、一緒に食べるようにしましょう。1歳半ごろから、少しずつ大人のまねをする様子がみられるようになります。おうちの方が食べる姿を見ることで、子どもは上手な食べ方を身につけていきます。子どもの発達をうながすためにも、親子で一緒に食事を楽しむことを習慣にしていけるといいですね。
「毎日の食事、これでいいの?」と
悩んだときは
食事のことであれこれ悩むのは、お子さんの食習慣をよい方向に導こうとしている証拠です。おうちの方は、まずはがんばっている自分を認めてあげましょう。少し肩の力を抜く時間も持てるように、次の2点を意識してみてください。
栄養バランスは2~3日くらいの単位で考えて
ベビーブック世代は食べムラがあることも多く、1食や1日の単位で栄養バランスを整えるのは難しいものです。そこで、2~3日から1週間程度の長いスパンで、主食(ごはんやパンなど)、主菜(肉・魚・卵など)、副菜(野菜や海藻類など)のバランスを振り返ってみましょう。食事の「量」よりも、いろいろな食材を出す「回数」を増やしていくと、栄養バランスが整いやすくなります。
手づくりにこだわらなくても大丈夫
買ってきたおそうざいを温めたり、盛りつけたりすることも、立派な「食事の準備」です。ごはんと味噌汁を用意して主菜は買ってきたもので済ませる日があってもいいですし、1食の全部がおそうざいという日があっても大丈夫。下ごしらえが済んでいるミールキットを活用して、手間を減らすのもいいですね。親子で楽しく食卓を囲めるように、無理せず手を抜くことも大切です。
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「『食べない』を食べやすくする
4つの調理法」
保育園の給食がお手本!
「食べない」を食べやすくする4つの調理法
パサパサしているなど苦手な食感のもの、土くささが強いもの、苦みや酸味が強いものなどは、好き嫌いの原因となります。乳歯の奥歯が生えそろう2歳半から3歳ごろまでは、大人のように硬い食べものを奥歯ですりつぶせないことも好き嫌いの原因の一つに。食べやすくするには、切り分ける、硬くならないように調理するなどの工夫が必要です。保育園の給食室で実践されている、食べやすくするための具体的な調理法をぜひ参考にしてください。
肉・魚は焼いてから切る
肉や魚を小さく切ってから焼くと、火が通りすぎて硬くなってしまうため、先に焼いてから切りましょう。薄力粉をまぶして、弱火から中火でじっくり焼くとパサつきにくくなります。ひき肉は、そぼろ状にするよりも、卵やパン粉、玉ねぎなどと合わせて肉団子やハンバーグのようにして焼くと食べやすくなります。
炒め物は野菜から先に炒める
大人用の炒め物を作る手順とは逆ですが、まず野菜から炒め、野菜に火が通ってから肉・魚を加えるのがおすすめです。この手順で炒めるようにすると、野菜はしんなりとした炒め煮になり、肉や魚は加熱しすぎて硬くなるのを防げます。肉や魚は薄力粉や片栗粉をまぶして焼くことで、パサつきが抑えられて食べやすくなり、味もからみやすくなります。
サラダはすべて加熱する
3歳までの子どもにとって、生野菜はハードルの高い食材です。保育園の給食でサラダを出すときは、レタスもきゅうりもサッとゆがいています。加熱することで殺菌ができるのに加え、食感が柔らかくなり、生野菜の青くささもやわらぎます。ドレッシングの酢の酸味も苦手な子が多いので、電子レンジや小鍋でさっと加熱して酸味を飛ばしてあげると食べやすくなります。
野菜は種類によって切り分ける
子どもにとって食べやすい硬さ・食感にするために、野菜は種類によって切り分けることをおすすめします。食べにくさが改善されれば、野菜を食べられるようになる子も多いので、ちょっとの工夫を意識してみましょう。
葉もの野菜
(ほうれん草・小松菜・キャベツ・白菜など)
根の部分の土くささが苦手な子が多いため、根は切り落とします。茎は細かく切ると火が通りやすくなります。葉の部分は繊維が長いまま残っていると食べにくいと感じるため、繊維を断つように、横向きで切った後に縦向きにも何度か包丁を入れて細かく切りましょう。ほうれん草は、ゆでる前に切るようにすると、苦みの原因となるアクが抜けやすくなります。
根菜類や歯ごたえのある野菜
(にんじん・ごぼう・玉ねぎ・きゅうり)
硬い野菜は「みじん切り」か「せん切り・細切り」にすると食べやすくなります。せん切りにするときは、力を入れなくてもかみやすくなるように、繊維を断つ方向に切るのがポイント。にんじんやきゅうりは、まずは輪切りにしたものを縦向きに切ると、繊維を断ち切れます。玉ねぎは、縦半分に切ったものを横向きに置き、頭のほうから薄切りにしていきましょう。
苦手克服の第一歩!
「食べられた」という自信をつけよう!
食べたものに苦手な食材が入っていたことに子ども自身が気づかないと、「苦手なものも食べられた!」という自信を得ることができません。食事のあとで、「今日のおかずにはピーマンも入っていたんだよ。ちゃんと食べられたね」と伝えると、苦手意識がやわらぐきっかけになることも。少しずつ切り方を大きめにして、その食材が入っていることがわかる状態でも食べられるようにしていけるといいですね。
「食べる」以外の経験も積もう!
嫌いなものへの抵抗感をやわらげるには、その食材を触ってみる、その食材が出てくる絵本を読む、おうちの方が食べている様子を見るなど、その食材に関連する経験を増やしていくことが効果的です。食卓に並べる回数を増やし、おうちの方がおいしそうに食べていると、子どももいずれ「食べてみようかな」と思えるときがくるはずです。「今はまだ経験が少ないだけなんだ」とおおらかに考えましょう。
こんなとき、どうする?
シーン別「食べない」解決!
旅行先や外食だと「食べない」
「お子さまセット」はこの年齢には味つけが濃いので、大人が定食メニューを頼んでパンやごはんを取り分け、コロッケならソースをかける前に取り分けるなどして味の濃さを調整しましょう。旅行前は家で常温保存ができるレトルト食品を食べる練習をして、それを旅行先にも持参すると安心です。
スーパーのおそうざいや
コンビニの食べ物を「食べない」
おにぎりなら鮭などのシンプルな具材のもの、パンなら食パンやロールパン、おかずはゆで卵などの調理の工程が少なく素材に近いものを選びましょう。ミートボールなどはスプーンでソースを落とす、インスタントスープや味噌汁はお湯を多めに入れるなど、薄味にする工夫が大切です。ひじきの煮物など、味がついているものはごはんに混ぜると食べやすくなります。
体調がすぐれなくて「食べない」
症状によっては摂取を控えたほうがよいものもあるため、食事の内容や量については医師の指示に従いましょう。食欲がないときは無理に食べさせずに、まずはこまめな水分補給を。食欲が出てきても、すぐに普段の食事に戻すのではなく、おかゆなどの消化のよいものや、離乳食期に好きだったものを用意することをおすすめします。
スプーンでうまく
すくえなくて「食べない」
上からグーで握る「上手持ち」の時期は、丸みを帯びたグリップがついていると握りやすいです。握ると柄が手から少しだけ出るサイズを選びましょう。手首を返して下からグーで握る「下手持ち」や「鉛筆持ち」の練習は、食事の時間よりもお絵描きの時間がおすすめ。クレヨンなどを使うときに「スプーンも同じ持ち方だよ」と声をかけるとスムーズです。
食器はある程度の重さがある方が扱いやすく、ふちが垂直に立ち上がっているものを選ぶと、スプーンを当ててすくいやすくなります。
イラスト/石山綾子 デザイン/平野 晶 文/安永美穂 構成/KANADEL
もっと教えて、先生!
Q.初めての食材を食べさせるときに
注意すべきことは?
→気になる答えは……
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細部までこだわった、ぷしゅぷしゅのかわいいキャラクター料理にも注目してください。
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「ベビーブック 2024年9月号」
価格:1200円
この記事は小学館「ベビーブック 2024年9月号」の内容を掲載しています
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配信: あんふぁんWeb