SNS文化の先駆け! 『いちご新聞』
冒頭でも触れた1975年から始まった『いちご新聞』は、キャラクターとファンを繋ぐ、現代のSNSのような存在を担っていました。
インターネットの無い時代は、いちご新聞を中心に、ファンとハガキでやり取りをしていたのです。
ここでは、ボツになる可能性のあったキャラクターが、ファン投票によって商品化された事例が紹介されていました。
リトルツインスターズのキキとララという名前も、いちご新聞の公募と投票で決まっています。
いちご新聞といえば、年に一回のキャラクター人気投票が有名です。
「自分で投票したからこそ、キャラに愛着が湧きますし、応援したくなりますよね。 現代の推し文化の原型です」と高桑元編集長。
ちなみに、この2002年に開催された『Newキャラクター人気投票の回』の左側にご注目ください。
後に、人気ナンバーワンに何度も輝くことになる、あのキャラクターがノミネートされているのにお気付きでしょうか?
真ん中のいちご新聞の表紙は、クリスマスのキャラクターとして生まれたキキが、なんと水着姿を披露している、とってもレアな登場回です!
いちご新聞の表紙は、担当デザイナーにとって、自分のキャラクターを自由に遊ばせることのできるチャレンジの場でした。
また、グッズには表立って出てこないけれど、しっかりと練り込まれたキャラクターたちの設定をお披露目する場でもあったのです。
今回の企画展では、反響の大きかったいちご新聞の表紙や、いちご新聞に掲載されていたキャラクターの設定裏話などを多数公開!
ファンはもちろん、キャラクターのことをあまり知らなかったという方にも楽しめる内容です。
SNSを駆使し、ファン主導で育っていくサンリオキャラクター
第2会場で待っているのは、今では、キャラクター人気投票で何度もトップの座に君臨している『シナモロール』!
元々は、耳の長い天使のウサギがモチーフでした。
何度もブラッシュアップを重ねるうちに、子犬がブームだったのでウサギが犬になり、ジュニア世代に人気のあったブルーにチャレンジするために、目と縁取りが青色に…と、時代を取り込むように変化していったのです。
シナモロールは、SNSを活用することで、ファンとの距離をグッと近付けることに成功しました。
現在も、X(旧Twitter)で日常の一コマイラストを、絵日記のように公開しています。
「起承転結の物語ではなく、ファンが自分の普段の生活とリンクできるような、日常的なエピソードを載せています。 ただ傍に居るだけで心が癒されるような。 サンリオのキャラクターは、そういった存在なのです」と、高桑元編集長。
SNSの流行している現代ならではの取り組みとして、サンリオは2022年に『NEXT KAWAII PROJECT(ネクスト カワイイ プロジェクト)』を開始。
デビュー前から、キャラクターをファンと一緒に創り上げていく、ファン参加型のプロジェクトです。
120を超えるキャラクターから社内投票で勝ち残り、25に絞られたキャラクターからファン投票され、デビューの座を勝ち取ったのは…
「頑張った”あなた“にハナマルをくれる、不思議なおばけ」の『はなまるおばけ』!
25のキャラクターたちはデビューを目指し、実際にプロモーションビデオやグッズが作られました。
自己肯定感が低い方の多い、現代社会。
はなまるおばけは、「自分なんて…」と呟いてしまう方の横に、そっと寄り添います。
そして、誰であっても、どんな些細なことにでも、シュッと『はなまる』をくれるのです。
これまでウケの良かった、「元気! 明るい! かわいい!」とは少し違った、優しいキャラクターが誕生しました。
配信: イマナニ