中高年の「糖尿病」は「メタボ」とどう違う?昏睡を引き起こす高血糖を防ぐには【医師解説】

中高年の「糖尿病」は「メタボ」とどう違う?昏睡を引き起こす高血糖を防ぐには【医師解説】

糖尿病の合併症<急性合併症と慢性合併症>

糖尿病の合併症として代表的なものは、先にも述べた神経障害、目の障害(網膜症)、腎不全です。これらは糖尿病の「三大合併症」とされ、年単位でゆっくり進行する慢性合併症です。それとは別に、感染症や脱水、インスリン注射を忘れるなどによって意識障害が起こる糖尿病性昏睡(急性合併症)は、緊急に治療が必要な合併症です。糖尿病性昏睡には、「糖尿病性ケトアシド-シス」と「高浸透圧高血糖状態」の2種類があります。

糖尿病性ケトアシドーシスとは

糖尿病性ケトアシドーシスは、血糖値を下げるインスリンが不足し、十分に血糖値が下がらないことで起こります。1型糖尿病の場合は、インスリンの注射を打たなかったなど、適切にインスリンが投与されなかったときなどに起こります。2型糖尿病は、甘いジュースやスポーツドリンクなどをたくさん飲んで、大量の糖を一気に取り入れてしまうなどが原因です。

糖尿病性ケトアシドーシスは、血糖値が250mg/dL以上まで上昇することがあり、ひどいと意識がなくなる昏睡状態に。また血糖をエネルギーとして使えないため、その代わりに脂肪がエネルギー源として分解され、最後に「ケトン体」という物質に。このケトン体の値が著しく高くなると、高度の脱水状態に陥ります。さらに悪化すると、呼吸困難や嘔吐、腹痛、意識障害などが起こります。

高浸透圧高血糖状態とは

高浸透圧高血糖状態は、高齢者の2型糖尿病に多く見られます。著しい血糖値の上昇や、水分不足による脱水により起こり、意識障害を引き起こすこともあります。糖尿病の高齢者が感染症(肺炎など)になったときに起きやすいので、感染症を発症しているときは脱水にならないよう、いつも以上にしっかり水分をとることが予防になります。

糖尿病の合併症を予防するための方法

慢性合併症の予防は、食事療法、運動療法、投薬を続けて血糖値を適正にコントロールすることです。自己判断で治療や通院を中断しないこと、喫煙をしない、体重管理、血圧・コレステロールを適正の範囲に保つことなどが大切になります。

急性合併症を予防するために一番大切なのは、指示通り薬の内服や注射を継続することです。定期的に医療機関を受診し、体調に不安があれば主治医とよく相談しましょう。適切な糖尿病の治療をおこなっていれば、急性合併症のリスクは減らせます。高齢になってくると、喉の乾きなどを感じにくくなります。脱水を防ぐために、こまめな水分補給も心掛けましょう。

まとめ

中高年以降になると、食事の乱れや運動不足などからポッコリおなかに悩んでいる人も少なくないですよね。ポッコリおなかが気になったら、メタボの予防のためにも適切な体重管理に努めましょう。それが結果的には糖尿病の予防にもつながります。糖尿病と診断されたら、治療・通院を続け合併症を予防し、こまめに水分補給をして脱水にも気をつけましょう。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

取材・文/早田佳代
編集プロダクション勤務を経て、フリーの編集・ライターに。コロナ禍でMAX体重を更新し焦ってランニングを始め6kgほど意地で落とす。が、そこからはずっと横バイで、アラフィフの代謝の悪さを思い知る。目標はあと4kg……。

著者/監修/高木 知子 先生
四谷内科・内視鏡クリニック 医師。東京医科大学卒業。東京医科大学病院などで糖尿病内分泌内科医として、糖尿病をはじめとする生活習慣病(高血圧、脂質異常症等)や、甲状腺疾患等の治療に携わる。予防医学や健康寿命の大切さに重きを置き、一人ひとりのライフスタイルに合わせた検査や治療の提案、サポートを続けている。

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