「知的障害の子は騒ぐ」と決めつけず、“個性”を見て 車中で5時間、静かに座れる 母の切なる願い

知的障害がある自閉症の息子を育てる女性ライターが、発達障害や知的障害がある人をその障害の名前でイメージするのではなく、その人の個性を見てほしいと訴えます。

障害に対する誤解や偏見

 一般的に、自閉症を含む発達障害や、知的障害などのイメージとして、大人でも子どもでも、じっとしていられなかったり、かんしゃくが激しい様子を思い浮かべたりする人は多いのではないかと思います。実は私も、息子を産む前まではそんなイメージを持っていました。

 しかし、息子と出会って、そのイメージは覆されました。なぜなら、息子はそういうイメージとは真逆な人だったからです。

 発達障害や知的障害について、世間ではいろいろと偏ったイメージが先行しているように思います。

 私は息子が赤ちゃんの頃、通っていた心療内科のカウンセラーから、「もしかして、知的障害がある人って、道端で大きい声を上げたり飛び回ったりしている人がすべてだと思ってます?」と言われてドキッとしたことがありました。なぜなら、まさに当時の私はそう思っていたからです。

 しかし、そのカウンセラーは言いました。

「知的障害があっても、ただ静かにじっと座っているだけの人だっていますよ」

 その言葉の通り、知的障害がある私の息子は、その例でいう後者のタイプの人でした。発達障害も同様に、知的障害以上にさまざまなタイプの人がいるものです。

 世間ではどうしても目立つ動きをする人に目がいくものですから、たまたま目を引く動きをしていた人を見た経験が、「この障害がある人はこういう人」というイメージをつくり上げてしまっているのかもしれません。

 しかし、実際は「そうではない人たち」もいっぱいいるわけで、「障害名」だけで人の特徴は区切れないと思っています。

 私は息子のおかげで、たくさんの障害がある子どもに接してきましたが、たしかにじっとしていられない子もいれば、じっとしていられる子、おとなしい子もたくさんいるのです。

 そして、じっとしているのが苦手な子にだって、別の長所があります。発達障害、知的障害というのは、本当に多様性がある障害なのです。

「障害名」ではなくその人の個性を見てほしい

 帰省の話から、障害の多様性についての話になりましたが、同じ知的障害がある子、発達障害がある子を育てる親御さんに息子の話をしても、長時間移動を難なくできることにはよく驚かれます。

 ですから、身近にそういう人がいなければ、もちろんピンとこなくても仕方がないことだと思うのです。

 ただ、この記事を読んでくださった人には、ぜひこれをきっかけに、「障害名で人を決めつける」ことはやめていただきたいと思います。

 同じ障害名でもいろいろな人、いろいろな子がいるものです。障害名ではなくそれぞれの特性や個性を尊重し、障害がある人たちの多様性を認めていただけたら、うれしく思います。

 そして、「障害者」ではなく一人の人として付き合っていってもらえたら、この世の中から障害に対する偏見は、もっと減っていくのではないかと思います。

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