宮田選手「代表辞退」に現地も驚き、フランスの未成年飲酒喫煙はどうなっているのか「一昔前は高校の教室でも吸ってた」

宮田選手「代表辞退」に現地も驚き、フランスの未成年飲酒喫煙はどうなっているのか「一昔前は高校の教室でも吸ってた」

●日本の18歳19歳がフランスで飲酒・喫煙したらどうなる?

ーー屋外での喫煙は制限されないのでしょうか

公道で吸うのは問題ありません(しかし公園等では喫煙は禁止されているところが多いです)。 7月初めにフランスに行きましたが、パリ市内でも他の街でも、五輪開催間近にもかかわらず、路上喫煙はいたるところで目にするし、道に捨てる人もたくさんいます。

五輪のウェブサイトには、開催ゾーンでは喫煙できないとされています。それ以外の場所はあまり関係ないようです。

五輪開催地は受動喫煙への対策を進めるのが常のようです。しかし、そのような理由の規制に対しては性格上反発する国民性かもしれませんが、五輪という国際イベントですと、割と禁煙に関する規制を守ると思います。

いま、タバコ1箱(20本入り)の値段はだいたい12ユーロ(2千円くらい)で、日本よりもかなり高額。パリ在住の弁護士たちは「我々は中毒だから高くても吸う(笑い)」と話していました。

昔は10本入りのタバコもあって、当時だと2〜3ユーロと学生でも手を出しやすかったのですが、今では10本入りは廃止されています。

また、自販機での販売も禁止されています。

最近では参議院で20ユーロ(約3千300円)まで引き上げの議論もあり、値段を上げてタバコの消費率、特に若者たちの消費率を下げる政府の戦略は、公衆衛生上は成功しているようです。

一方で、フランスよりも物価の安いスペインなど近隣諸国で大量に買ってくるケースも少なくありません。

また、北アフリカのブラックマーケットなどで買ってきたタバコが、移民などによって格安の値段で路上販売されている光景もあります。

フランスではライセンスがないタバコの販売は違法です。そのようなタバコはパリのバルべス通り付近やクリニャンクール等に行くと「マルボロ、マルボロ」と路上で販売する人たちが声をかけてきて売られることもありますが、正直どんな中身か見当もつきません。

ーー日本からフランスを訪れた18歳や19歳の「日本における未成年」が現地で飲酒喫煙した場合、現地の法令に違反するのでしょうか

問題はあるのかもしれませんが、仮に18歳未満の日本人がフランスで喫煙をしたとしても、フランスの警察に捕まるようなことはありません。

フランスで未成年が吸ったとして刑罰の対象になるかというと、まず販売側または吸わせた側に責任があり、未成年を取り締まるほど警察も暇ではありません。タバコに対する文化が違っているので、介入はしないと思います。

●「宮田笙子ショック」はフランスにも届いた。「フランス人弁護士の同僚もびっくり」

——19歳の宮田選手が飲酒・喫煙による代表行動規範に違反したとして、代表を辞退しました。どう受け止めていますか

五輪の日本代表に選出された19歳の女性選手が、代表辞退となったニュースは、フランスのメディアでも大きく取り上げられています。

うちの事務所のフランス人弁護士たちとも話したのですが、みんなすごくびっくりしています。

日本では飲酒・喫煙は20歳からというルールは理解できますが、だからといって国外から日本に呼び戻して聴取したり、代表辞退になるとは驚きです。

飲酒・喫煙した20歳未満の責任を考える場合、販売したり吸わせた側に責任があるわけで、本人が罰せられる理由があるかは疑問に思っています。そのうえ彼女はトップアスリートで、オリンピックのメダル候補でもあったため、代表を辞退する結果は残念だとも思っています。

20歳未満の飲酒・喫煙を禁止するのは、彼ら彼女らの健康と成長を保護するためです。

今回出場できなくなったことで、彼女のトップアスリートとしてのキャリアも止まる可能性があります。それが彼女の未来を守ることにつながっているでしょうか。

【プロフィール】

マージュ パスカル・聡平(まーじゅ ぱすかる そうへい)弁護士

外国法事務弁護士(パリ弁護士会・第二東京弁護士会)。フランスのパリ第2大学卒業。現地企業に勤務後、2016年にフランスで弁護士登録。フランスの法律事務所を経て、現職。外国法事務弁護士として2021年登録。国内外のM&A、法人設立、ジョイントベンチャーの設立をはじめ、コーポレート・商業取引における各種契約及び規制分野(GDPR、IT関連等)に経験を持つ。

事務所名:LPA外国法事務弁護士法人

事務所URL:https://lpalaw.jp/jp/

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