「骨肉腫」を発症すると「手や足を切断」しないといけないの?【医師監修】

「骨肉腫」を発症すると「手や足を切断」しないといけないの?【医師監修】

骨肉腫は骨のがんであり、主に成長期の子どもの膝や腕に罹るとされています。

主な症状は痛みや腫れですが、進行が進んだ場合に手や足を切断しなければならなくなることもあります。

どのような場合に切断が必要になるのでしょうか。また、切断せずに済む方法があるのかについても深掘りしていきます。

骨肉腫でお悩みの方は、ぜひご覧になってください。

≫「骨肉腫の治療法」はご存知ですか?症状や検査方法も解説!医師が監修!

監修医師:
松繁 治(医師)

経歴
岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科
主な研究内容・論文
ガイドワイヤーを用いない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)刺入法とその長期成績
著書
保有免許・資格
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医

骨肉腫とは

骨肉腫は骨に発生するがんのなかでも代表的ながんです。10代の頃に発生しやすく、罹患者数の約3割は40歳以上の方が発症しています。国内での罹患者は年間200人程度です。大腸がんが年間15万人・舌がんが年間5千人から6千人なので、ほかのがんと比べてかなり少ないといえます。
腫瘍の発生部位は以下のとおりです。

膝の上下部分(罹患者のうちの約6割)

上腕骨の肩に近い部分

大腿骨の股関節に近い部分

骨肉腫は骨端線と呼ばれる、骨が早く成長する部位に発生します。そして骨肉腫は肺に転移することが知られていますが、肺以外にも同じ骨のなかや、別の骨への転移も見られます。骨肉腫の症状は以下のとおりです。

初期症状は痛みと腫れを感じる(初期症状が出ないこともある)

腫瘍が発生した骨の骨折

特定の箇所で痛みが長く続く場合、骨肉腫の疑いがあります。その際は放置せず、整形外科や小児科を受診しましょう。また病気が進むと骨が弱くなり、骨折を引き起こすこともあります。
なお、骨肉腫の発生要因は明確にされておらず、遺伝的背景も不明だそうです。ただし、骨の成長が早い10代の罹患者数が少なくないことから、骨成長の早さが関係していると提唱されています。

骨肉腫で切断は必要?

骨肉腫に罹患した場合、手や足を切断しなければならないのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

神経や血管を巻き込むならば切断は必要

神経や血管は四肢の機能を維持するために重要な部位です。そのため骨肉腫において、病巣が神経や血管を巻き込んでいる場合は足を切断する必要が生じることがあります。
術前・術後の抗がん剤治療が確立し、患部である手や足を残す手術が行われることが少なくありません。しかし骨肉腫罹患者のうちの1~2割程度の方は、初診時にすでに病気が広がっており、手足を切断せざるを得ないこともあります。
ただし、骨肉腫はその特徴から、骨の端にある骨端線と呼ばれる骨の成長に欠かせない部位をほとんど切除するものです。子どもはこれから成長期を迎えるため、骨の成長に欠かせない骨端線を切除することは手足の成長に少なからず影響を与えます。そして成長期が終わる頃には、骨肉腫を発症していない方の手足と比べて治療した手足が10cm以上も短くなることがあり、日常生活に支障をきたすことも注意点です。
このような場合、手足を切断し、義足(義手)を使用することで生活の質を向上させることがあります。

原則は広範切除を行う

腫瘍を完全に取り除くために、周囲の健康な組織で包むように一塊として切除することを広範切除といいます。骨肉腫の治療においては、基本的に広範切除が行われています。

患部の温存を図る治療法が取られる

腫瘍の切除後にヘリカルCTという技術を応用した新しい放射線治療装置を用いて、患部の温存を図る治療法もあります。この治療法が患者さんに適応するかどうかは一概にいえませんので、医師にご相談ください。

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