「骨肉腫」を発症すると「手や足を切断」しないといけないの?【医師監修】

「骨肉腫」を発症すると「手や足を切断」しないといけないの?【医師監修】

骨肉腫の治療法

骨肉腫の治療法には、患部の切除法のほか温存治療もあります。手足を切断するだけでなく、温存できる方法もあるため、参考にしてください。

腫瘍切除手術法

腫瘍のできた骨とその周りの組織を一塊として切除する広範切除を行います。切除後には人工関節を用いて再建する方法が取られます。

患肢温存手術法

手足に栄養を送る重要な血管や、手足を動かす神経を残す治療方法を患肢温存手術法と呼びます。この場合は骨を切断しなくてよいとされています。手術のために欠損した骨の部分には人工関節を入れたり、切除後にがんを殺す処理を施した骨を元の位置に移植したりして再建することが必要です。
近年では延長することが可能な腫瘍用人工関節や、骨を延長させる骨延長術が進歩しており、10歳以下の子どもに患肢温存を試みることがあります。

化学療法

1970年までは手術による治療法が行われており、治療後の90%程度が再発していました。現在では手術前後に薬物療法など化学療法を行うことで再発率を下げています。
具体的には、手術する2~3ヵ月前に薬物療法を行い、腫瘍の切除や再建手術を行ったのちに数ヵ月の薬物療法を行う治療法がとられています。これは世界的にほぼ標準的な治療法として確立されていることになるでしょう。ただし化学療法には以下のような副作用もあります。

吐き気や嘔吐

体のだるさ

口内炎

白血球の減少とそれに伴う感染症

治療に使われる薬のなかには、シスプラチンやイホスファミドがあります。これらは妊孕性に影響を与える可能性があります。

放射線療法

骨肉腫の場合、放射線療法が効きにくい腫瘍とされており、ほとんど行われることはありません。しかし、腫瘍の大きさや患部の場所から広範切除が難しい場合、手術のほかに補助的治療として放射線療法が行われることもあります。

支持療法

支持療法とは、がんなどの重篤な疾患や生命を脅かすような疾患を抱えている患者さんの生活の質を改善するために行われる治療のことです。がんになると体のことだけでなく、学校や将来についても不安が付きまといます。
がんに伴う心と体・社会的なつらさを和らげるために行われます。不安な気持ちを医師や看護師・薬剤師や理学療法士など医療者へ伝えることで、不安を解消していくことが目的です。

骨肉腫の検査法

血液検査とともに、X線やCT・MRIなどの画像診断が行われます。また、腫瘍細胞の種類を調べるために生検も行われます。

血液検査

骨肉腫に罹患している場合、アルカリホスファターゼという酵素の数値が高くなっていることがあるため、知識として知っておきましょう。この数値から骨肉腫に罹患している可能性を診断しますが、小児は骨の成長が早いためにもともとアルカリホスファターゼが高い傾向にあります。そのため、ほかの検査の診断結果も踏まえて骨肉腫と判断します。

画像検査

主にX線検査が行われます。腫瘍のある部位は黒っぽく映り、それ以外の正常な骨は白っぽく映ります。これは通常型と呼ばれる高悪性度のものであり、小児に発生する骨肉腫の大部分はこちらに該当します。
なお、骨肉腫では腫瘍が骨からしみだして骨の外側に塊を作る特徴があることも、知っておきましょう。これを検査するためにCT検査やMRI検査が行われます。

生検組織診断

病変の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査です。手術や内視鏡検査のときに組織を採取したり、体の外から超音波検査やX線検査などを行いながら細い針を刺して組織を採取したりします。

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