スマホのゲームアプリ「人狼ジャッジメント」で、チートなどの不正行為を繰り返したとして、当時特定少年(※18歳〜19歳)だった男性が、電子計算機損壊等業務妨害の罪で東京地検に家裁送致された。
東京家裁は、家裁調査官による教育的措置をとったうえで厳重注意処分とした。保護処分にまでは至らなかったが、男性と運営会社との間で100万円以上を支払う約束で、2024年5月に和解が成立している。
数千件の迷惑行為を繰り返した男性が、弁護士ドットコムニュースなど、複数の報道陣の取材に応じた。アプリ上で幾度となく「法的措置」の警告を受けたが、「システム上のメッセージ」と本気にしなかったという。
ゲームの運営会社や、楽しく遊んでいるユーザーに迷惑をかけることに考えが及ばず、チートにのめりこんでいった経緯について「後悔はしていないが、反省はしている」とつぶさに語った。チートを知ったのは8歳のときだったという。(弁護士ドットコムニュース・塚田賢慎)
●1000万円の損害賠償請求が「認諾」された事件も
「人狼ジャッジメント」の運営会社の代理人によると、現在20代の男性は、ゲームアプリ上で、繰り返しチート行為をおこなって業務妨害に及んだほか、アカウントが凍結(アカBAN)されるたびに新しいアカウントを作るなど、不正行為を繰り返したとされる。
チート行為の中身は、運営会社のサーバーに虚偽のデータを送信して、本来は購入していないアイテムを使用できるようにするなど。
アカウントの作り直しは約170回にも及び、チートなど不正行為は3400件以上にものぼったという。東京地検はそのうち、2021年8月29日と同9月6日の不正行為について家裁に送致した。
このゲームをめぐっては、不正の指南ブログを書いた男性について、1000万円の損害賠償が認諾されるなど、たびたび法的責任が追及されている。
また、別のゲームでもチートツールの販売者が逮捕された。
小さい子どもでも、少し調べれば簡単にチートの存在にたどりつき、実行のハードルも低い。どうやってのめり込んでいくのか、男性が報道陣に語った。
●8歳で知ったチート「羨ましい」湧き出た感情…指南動画を繰り返し視聴
男性は、父親の影響で幼い頃からゲームに親しみ、チートに出会ったのは8歳のころだった。
親から借りたスマホで、YouTubeのチート紹介動画を視聴した。人気ゲーム『バイオハザード』のキャラクターの動きを見て「なんでこんな動きができるんだろうかと羨ましいと思いました」と振り返る。
中学生になると、動画で紹介されたやり方の通りに、自分のPCにチートエンジンを入れて、ゲームストアにあるアプリに対して「手当たり次第に」チートを試した。その通りにできたという。
「人狼」を遊び始めたのは中学2年生だったが、3年生になるころには「画面の色を変える」行為や「課金解除」(課金が必要なアイテムを無課金で利用する方法)」など、さまざまな不正行為を実施するようになった。
配信: 弁護士ドットコム