「私は何も持っていない」と悩んだことも
――パフォーマングループの走りかもしれませんね。そのカッコよさを体現できたのはメンバー4人の個性があったからこそでしょうか。
稲葉「そうですね。一方でメンバーが4人いる中、当時は比べられることの辛さもありました。私以外の他の3人が民謡歌手、オリンピック選手、外国籍と異色の肩書きや個性を持っている。その中でいうと経験はあるものの、私は何も持っていないのではないかと感じていたんです」
――でも、稲葉さんはまとめ役というかリーダー的存在だったじゃないですか?
稲葉「それ! 稲葉は太シスのリーダーってよく言われるんですけど、別にそういうわけじゃないんです!」
――えっ、そうだったのですか?
稲葉「太シスはリーダー不在のグループなんです。役割分担みたいなものはありましたけどね。私からすれば逆にどうしてそう思われたんだろう?って感じです(笑)」
解散後は司会に振り付け、裏方として邁進
――稲葉さんは太シスを解散した後も、ハロー!プロジェクトで様々な活動をされていましたよね。
稲葉「振り付けをやったり、レコーディングのコーラスをやったり、コンサートの司会をしたり舞台でお芝居をしたり……色々なことをやらせてもらいました。
特に司会はかなり鍛えられました。もともとあまりトークが得意な方ではなかったんです。ただ、経験を積む中でどんどんスキルアップしていくのが自分でもわかりました。ずっとグループで活動してきたせいか、一人でやっていくことに不安はありましたが、その苦手意識はもう薄れたと思います」
――当時のハロプロファンたちにとっても、稲葉さんといえばコンサートに欠かせない名司会という印象が強かったのでは。
稲葉「本音をいうと10歳以上も若い可愛いアイドルとのステージなんて大丈夫かな? と最初は不安があったんです。でも、松浦亜弥ちゃんや後藤真希ちゃんのコンサートのゲストに出させてもらった時に、『私なんてそんなそんな……』なんてやっている方がカッコ悪いなと気付きました。
どうせ出るなら年齢やキャリアなんか気にせず、その場に来ていただいたお客さんに楽しんでもらえたらそれでいいんじゃないかって。
私を必要ないと思う人もいたかもしれませんが、そこにフォーカスするのではなく、自分の力を思いきり出しきると決めたんです。そうすることで、少しずつファンの方々が好感を持ってくれるようになったのだと思います」
配信: 女子SPA!