『虎に翼』(NHK総合)で岡田将生が演じる判事・星航一の髪型が、どうもひとりだけ現代的過ぎるとSNS上で話題だ。
確かにそうかもしれないが、でもどうだろう。ここまで丹念に時代考証が続けられた端正なドラマ世界だというのに、そんな単純な齟齬が生まれるだろうか。もしかすると、あえて当時代性からズラすことで、逆に豊かな化学反応を生じさせているのではないだろうか?
考え過ぎかもしれない。でも岡田将生が演じるからにはそれなりの意味合いが付与されて当然だと思う。イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、どうして現代的な髪型にスタイリングされているのか、その理由を考える。
昭和のメンズ・ヘアースタイル
昭和の男性たちの髪型は七三分けばかり……。みたいな古くさい男性像はたぶん、お笑いコントなどによく登場するステレオタイプのお父さんが、揃って和装姿で七三分けのカツラを装着しているイメージからきていたりするのかな(実際には1960年代に日本で大流行するアイビースタイルの髪型)。
昭和とひとくくりにしても64年もの期間がある。特に戦後はアメリカ文化の影響を直に受けながら、メンズ・ヘアースタイルの変遷は約10年ごとに区分できる。
たとえば、終戦後すぐの昭和20年代中頃以降(1950年代)。1954年のヘップバーンカットなど女性のヘアースタイルの流行にばかり気を取られてしまうが、メンズにだって流行のヘアースタイルはちゃんとあったのだ。そのことを踏まえ、確認しながら、『虎に翼』のある男性キャラクターの髪型に注目してみたい。
時代考証がおかしいという意見
その人は、最高裁判所初代長官の息子。主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)が、東京の家庭局から新潟地家裁に異動になったタイミングで、新潟地方裁判所の判事になっている。すごく真面目というのか、どこまでも取り付く島がない人物像だ。
そんなキャラクター性の人なら、髪型は絶対に七三分けが相場だろうと決めつけたくなる。だけど、実際に星航一を演じる岡田将生を見ると、七三分けどころか、毛先がボサボサしているのに、ほどよいショートマッシュ風(2010年代に流行)の現代的スタイルなのだ。
航一のこの髪型についてネット上では賛否両論。特にX上をパトロールしてみると、主要登場人物の中でひとりだけ現代的過ぎる髪型であり、時代考証がおかしいという意見が総じて散見される。
配信: 女子SPA!