妻と夫の関係に何が!? 産後クライシス対策【ワンチーム編】

妻と夫の関係に何が!? 産後クライシス対策【ワンチーム編】

第6回 注目の「妻のお悩み」をまとめてチェック!
良好だった夫婦仲が、出産後から急に悪化してしまう状態「産後クライシス」に陥っていませんか? 解決の糸口はまず、現状の夫婦関係タイプを把握すること。その上で、育児・家事・仕事の3大事業に「ワンチーム」で取り組むことができるか? 心理カウンセラー、キャリアコンサルタントの筆者が解説します。

夫婦関係の質をチェック! 今の状態はどのタイプ?

「夫婦関係の質」という言葉にドキリとした方も多いのでは? 今の夫婦関係を早速チェックしてみましょう。妊娠前の関係が良好だった時期を100%として、「相手への愛情」「すれ違い・批判・喧嘩」「悩みや葛藤」「コミュニケーションの量」をそれぞれ数値化してください。

【疑似離婚タイプ】
相手への愛情:65%に減少
すれ違い・批判・喧嘩:160%に増加
悩みや葛藤:260%に増加
コミュニケーションの量:69%に減少

険悪な雰囲気の交流が増え、相手の価値観を認めて課題解決するための新しいアイデアを出せるような家族の機能が、非常に弱まっている可能性があります。双方が満たされない気持ちや怒り、悲しみを抱えているかもしれません。

【疎遠タイプ】
相手への愛情:90%に減少
すれ違い・批判・喧嘩:130%に増加
悩みや葛藤:198%に増加
コミュニケーションの量:85%に減少

関わりをもたないことで、なんとか険悪な雰囲気にはなりませんが、年を重ねるにつれて少しずつ疎遠になっていくことがあるかもしれません。【疑似離婚タイプ】と同様に家族の機能が弱まっている可能性があります。

【現状維持タイプ】
相手への愛情、すれ違い・批判・喧嘩、悩みや葛藤:ほぼ変化なし
コミュニケーションの量:数%微増もしくは変化なし

夫婦関係が悪化しない程度に出産後の変化を克服してきたといえるでしょう。新しい良好な関係が生まれる余地を存分に残しているともいえます。

【関係向上タイプ】
相手への愛情:116%に増加
すれ違い・批判・喧嘩:85%に減少
悩みや葛藤:70%に減少
コミュニケーションの量:120%に増加

出産後に現れた結婚生活のギャップや不一致を見事に克服。出産前よりも愛情が増し、親密な関係を築くことができています。

驚くべきことに【関係向上タイプ】は2割存在するといわれています(※1)。このタイプから行動や態度を学ぶことで、より良い変化の兆しを得ることができると考えられます。

妻と夫の関係に何が!? 産後クライシス対策【ワンチーム編】

「私たち」夫婦・家族…「ワンチーム」の感覚ありますか?

【関係向上タイプ】の大きな特徴は、夫婦関係がワンチームであり、個人的な欲求よりも夫婦・家族としてのチーム目標を優先していることです。

妻の「私」と夫の「あなた」。いつの間にか「私たち」という感覚が薄れて、おたがいの個人的な欲求を主張しあっていませんか?

現在は共働き夫婦も増えています。妻と夫に収入の差はあるかもしれませんが、金額ではなく「仕事・育児・家事」の時間という点で、どちらかが頑張りすぎている不平等はありませんか?

また、転職や異動といったライフステージ、介護や持病といった健康状態など、個人の状況も都度異なります。さらに、妻には生理の周期もあり、ひと月の間でも心身ともに揺れがありますよね。

妻の状況を素直に伝え、夫の状況も知る。子どもが生まれる前から、カップルの分担について話し合う。状況に合わせて「私たち」がどうすれば満足いく関係でいられるか、関係をよりよくするために話し合う。そうして知恵や工夫を出し合って努力してきたカップルは、出産後の変化について対応する習慣や準備があったといえます。

そのような努力をしなくても、子どもが生まれるまでは時間的・経済的な余裕と心の余裕があったため、何となくうまくやれてきたカップルもいるでしょう。ですが、子どもが生まれた途端に余裕がなくなり、おたがいの価値観について正面から取り組む必要性が生じる可能性もあります。大事な時期であり、チャンスととらえることもできるでしょう。

夫婦を「ワンチーム」として考え、「育児・家事・仕事」の3大事業に取り組むことができるか? より良い「私たち」の関係になれるか? 育児の時期とは、夫婦関係を見つめ直す大事な時期なのかもしれません。次回は、妻からみた母親役割のストレスと夫婦の肯定感について取り上げます。

<出典>
※1 Belsky, J., Kelly, J. (1994) The Transition to Parenthood. New York, Delacorte Press.(ジェイ・ベルスキー, ジョン・ケリー(1995)子供を持つと夫婦に何が起こるか,草思社)

妻と夫の関係に何が!? 産後クライシス対策【ワンチーム編】

■この記事は編集部&ライターの経験や知識に基づいた情報です。個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用・ご判断ください。

この記事を執筆・監修した人

石橋 麻衣子(筆名:やまもとこも)
<公認心理師・臨床心理士・キャリアコンサルタント> 10代の子の母。一般企業で20年勤務後キャリアチェンジし、現在は公的機関での教育相談、スクールカウンセラー、精神科クリニックで心理検査やカウンセリングに従事しています。自身の心身の状態が子どもや家族の成長にとても大事だと強く実感しています。自分も他人も大事にするコミュニケーションでよりよい関係や笑顔が生まれますように。
<公認心理師・臨床心理士・キャリアコンサルタント> 10代の子の母。一般企業で20年勤務後キャリアチェンジし、現在は公的機関での教育相談、スクールカウンセラー、精神科クリニックで心理検査やカウンセリングに従事しています。自身の心身の状態が子どもや家族の成長にとても大事だと強く実感しています。自分も他人も大事にするコミュニケーションでよりよい関係や笑顔が生まれますように。