地頭をよくするのは、机の上ではない。
こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、「一生モノの能力を養う食育」についてさまざまな実践法を提案しています。
夏休みの育児、本当におつかれさまです。普段のルーティンに加えて昼ごはんの食事作り、習い事の送迎、宿題サポートなど、いつも以上に負担がかかる時期でもあります。親がこんなにも頑張っているのだから、子どもは賢くなって欲しい、能力を高めて欲しいと願うのは自然な流れ。一番重視しているのが勉強、という家庭は少なくないでしょう。
そのような方針を間違っているとはまったく思いませんが、もう少し世界を広げて子育て事情を見てみると、才能を開花させ知性・感性に秀でた人が夏休みを机上の勉強だけで過ごしたというエピソードはあまり聞こえてきません。
結論から言いますと、地頭の良い子どもを育てるために必要なのは、受験勉強だけに陥らない多角的な教育環境のほうが、長い人生においては重要ではないかということです。
私は今年の夏、家族でイギリス訪れ、世界有数の大学(オックスフォード大学やケンブリッジ大学)を見学してきました。また食育のあり方や日々の育児について、幼少期の過ごし方について卒業生たちと情報交換することもできました。
そこで今回は、イギリス旅で気がついた地頭を良くするための親の心得、子ども自身が気がついた大きな収穫についてご紹介していきたいと思います。気軽にお読みいただければ嬉しく思います。
日本の受験勉強だけでは世界に通用しないことを痛感
私は今夏にイギリスを訪れ、オックスフォード大学やケンブリッジ大学を見学してきました。
卒業生へのヒアリングや彼らの子育てに関する話も収集してきましたが、日本の教育概念とはまったく異なることがわかりました。
彼らは、国語、算数、理科、社会といった科目だけの勉強に捉われることなく、芸術、音楽、ボランティア活動などに積極的に情熱を傾けています。
またさまざまなコミュニティにおいて、子ども扱いされることなく、人と議論をする、違う意見を取り入れる、堂々と自分を表現できる力を自然に養っています。
海外言語習得に対する意識を強く持っているものの、親が千本ノックのように準備した習い事漬けの毎日を送っている子どもは、日本ほど多くはありません。もっと別の視点で、さまざまな才能や能力を育てる環境づくりを重視していたのです。
私は今回のイギリスでの学校見学を通して気がつきました。やみくもに受験勉強ばかりしていても、子ども時代だからこそ柔軟に育めるコミュニケーション能力や感性、表現力や主体性を高めることはできないことを痛感したのです。
優秀大学に入っても幸せになれるわけではない。大切なのは?
小さな話にはなりますが、私自身(念願の東京大学に入学し、好きな仕事をして経済的にも精神的にも自立して生きています)を振り返ってみても、幼少時代に勉強ばかりするようなことはなく、自然の中で思いっきり遊んだり、家の手伝いをしたり、友達と自転車で遠出をしたりと、自由な青春時代を過ごしてきました。
また東大生がガリ勉ばかりではないこと、東大に入ったからと言って幸せな人生が約束されているわけではないことも実体験を通してわかってきたこともあります。
つまり幼少期の限られた時代に、子ども自身が望んでいるかわからない受験勉強ばかりに時間をかけることは、他のチャンスを失ってしまう可能性がある。それ以上に大切なのは、子ども本来の個性や才能を健やかに開花させ、地頭を良くするサポートをしてあげることだと私は考えるようになりました。
地頭が良いというのは明確な定義がありませんから、むしろ定義は人それぞれ違くてもいいと考えるべき。重要なのは、親自身が我が家らしい定義(目標)をイメージすること。
今回のイギリス旅、これまでの海外旅、世界の食育を探求していく中で、私は「子どもが主体的に生きることができ、挫折や失敗に負けることなく、自分の人生を肯定的に重ねていける能力のこと」だと考えるようになりました。
配信: 女子SPA!