わたしたちとカブトムシ
さてまずは、カブトムシと人間との関係性について学びましょう。
カブトムシって、いつから人気者なんでしょう?
「真・カブトムシ」では戦後から現代に至るまでの、愛媛におけるカブトムシの文化史にも触れています。
戦後の学習図鑑や、昭和30年代、昆虫採集用具・顕微鏡などを扱ったデパートの広告、昭和40年代には既に内子町で養殖されていたという驚きの新聞記事も。
昭和30年代から、駄菓子屋さんや文具店などで販売されていたという昆虫採集セット。
2000年代に大人気となった、あのカード玩具も展示されています。
自然の中でくらしていたカブトムシが身近な存在になっていった反面、商品化されていった歴史を学ぶことで、カブトムシへたちの理解も深まりますね。
さらに遡って、江戸期の昆虫図鑑(虫譜)などから、カブトムシの「名前の歴史」を探ります。
1596年に書かれた中国の古い図鑑に登場する「渓鬼蟲」という名称は、日本でも使われていたようで、「サイカチムシ」や「カブトムシ」という仮名があてられているそうです。
また、1600~1800年代の書物には「独角僊(仙)」「吉兆虫」「飛行蟲」など、様々な呼び名で登場しているんだとか。
カブトムシの別名、どのくらい見つけられるかな?
カブトムシにちなんで、江戸期の甲冑も展示されています。
カブトムシは漢字で「兜虫」とも「甲虫」とも書かれます。
「甲」は鎧兜、つまり甲冑の意味を持っています。
どっちの漢字がカブトムシにふさわしいでしょう?
重武装でありながら動きやすさを極めた、江戸初期の実用性の高い甲冑。
まるで「カブトムシ」そのものですね。
外骨格とツノは、強さの証。
カブトムシがモチーフの特撮キャラクターたちも大集合。
ヒーローや悪役など、親世代が夢中になったキャラクターも。
江戸期のカブトムシの異名「サイカチムシ」がネーミング由来の玩具も!
カブトムシは、芸術の分野でも登場しています。
向かって右は、川之江出身の画人 大西黙堂によって大正期に描かれたといわれる虫の行列「千蟲戯画」、左は久万高原町出身のアーティスト石田精雌さん作「皂莢(さいかち)とサイカチムシ」です。
左の作品を描いた石田精雌さんのポストカードは、1階ミュージアムショップで購入できます。
写真や標本、動画などで学ぼう!
続きまして、カブトムシの基本的な生態や分類などについて学びましょう。
カブトムシの仲間は、なんと世界に2,000種類!
その半数以上が、ツノを持たない種類なんだとか。
日本と世界のカブトムシの多様性について学べます。
卵から幼虫になるまでの段階標本もあります。
カブトムシの幼虫って、意外と大きくてびっくりしました。
大型のオスの成虫が10gほどなのに対し、十分に育った終齢幼虫は重いもので40gもあるんだとか!
根気強く観察していないと見られないような、レアシーンを再現した標本もあります。
また、最新の研究成果が学べるコーナーも。
生き物の体の構造や仕組みを真似てものづくりに活かす「バイオミメティクス(生物模倣)」の分野でも、カブトムシについて研究中だそうです。
例えばカブトムシの「翅」の構造が、未来の医療・工学分野に活かされるかも知れないんだとか。
新居浜市の愛媛県総合科学博物館からやってきた、海外のカブトムシ標本も勢揃い!
こちらはアフリカにすむ、オオツノハナムグリの仲間の標本。
まるでデザイナーズ昆虫です!
アフリカはカブトムシの数が少ない地域で、代わりにツノを持つ巨大なハナムグリが繁栄しているんだとか。
大きな体に斬新なデザイン!
ぜひ実物をご覧ください。
翅を広げたヘラクレスオオカブトの標本も!
硬い外骨格で守られたカブトムシですが、天敵もいます。
タヌキやカラス、スズメバチとの関係性も紹介。
センサーカメラがとらえた、カブトムシを食べる生き物たちや、スズメバチとの攻防の様子を映像で学ぶことができます。
カブトムシの蛹化や羽化シーン、地面に潜るカブトムシの幼虫など、カブトムシの「真」の姿を垣間見ることができる、貴重な生態映像も。
こちらは、幼虫から蛹になる「蛹化」の様子を収めた動画のワンシーン。
カブトムシの幼虫は蛹になろうとする段階で、土中で自分のフンを塗り固めながらぐるんぐるん動いて、「蛹室」と呼ばれる部屋を作りますが、蛹室が小さすぎるとツノが曲がってしまうこともあるんだとか。
立派にのびのび育つための環境は、自分で広げていくんですね。
配信: イマナニ