●「女性差別が引き起こすキャンセル」に蓄積していたフラストレーション
なお、ストレートに女性を差別するような発言は批判されて当然です。
これまで炎上してきた事例では、大きく問題視されたのは、些細なことであったり、なぜそれが差別に当たるのか疑問に感じざるを得なかったりするようなケースだったと思います。
女性差別発言に関する多くの事例が蓄積されるうちに、今度は女性という性に着目した発言をした人をキャンセルする行為に対して、人々のフラストレーションが相当高まっていたように見受けられます。
そこに今回の男性の体臭に関する発言があったので、これまでの反動として、「男性差別だ」と大きく炎上したのではないでしょうか。
差別を許さないという大枠で反対する人はあまりいないのではないかと思います。ただ、差別と言っても濃淡があり、些細な発言がすぐに差別だとして炎上させられてしまっては、性にまつわる話は何もできなくなってしまいます。
そんな社会で良いのかと疑問に思わざるを得ません。性に関する話題以外でも同様のことが起きています。
叩いている人たちが気持ちよくなるだけで、誰も幸せにならない行為だと思いますし、どこかで歯止めをかけないと、どんどん言いたいことも言えない息苦しい社会になっていくと思います。
【取材協力弁護士】
小沢 一仁(おざわ・かずひと)弁護士
2009年弁護士登録。2014年まで、主に倒産処理、企業法務、民事介入暴力を扱う法律事務所で研鑽を積む。現インテグラル法律事務所シニアパートナー。上記分野の他、労働、インターネット、男女問題等、多様な業務を扱う。
事務所名:インテグラル法律事務所
事務所URL:https://ozawa-lawyer.jp/
配信: 弁護士ドットコム