『虎に翼』が描く原爆裁判は「想像」でしかない? ドラマ化がかなり難しい理由

判決文を書いたのは、当時26歳の若手裁判官だった

こ うした当時の政治だけでなく、世界の歴史にまで影響した「原爆裁判」に三淵嘉子さんは、裁判長を補佐する二人の裁判官のうち、「右陪席」として関わりつづけました。裁判中に担当裁判長や右陪席、左陪席という二人の裁判官は異動したりもするそうですが、三淵さんだけは一貫して結審まで「原爆裁判」を担当し続けたそうです。

 残念ながら、三淵さんによる「原爆裁判」へのコメントは一切ないのですが、マスコミでも大きく取り上げられた「原爆裁判」の判決文を書いたのは、当時26歳だった「左陪席」の高桑昭さんだったということが御本人の回想録で明かされています。26歳の若手に任せられる仕事としてはあまりにヘビーだったでしょうね。

 ちなみに裁判官の仕事は、政治家とは異なり、そして弁護士などとも異なり、どういう裁判をしたというキャリアによって、その後の出世が左右されるような単純なものではないらしいのです(東北大学大学院法学研究科教授の井上泰人さんのインタビュー記事『裁判官の学びと職務』)。

 つまり世界や歴史を動かす裁判に関わったからといって、大出世したりはしないものだとか。三淵嘉子さんも世界を動かした「原爆裁判」の後は、各地の地方裁判所において非行少年たちと向かい合うという、比較的、小規模な仕事が中心だった理由も「そういうこと」だったのかもしれません。

 ただ、『寅に翼』は、そういう史実を反映した静かなエンディングでは終わりそうにはありません。「サスペンス美佐江」など大きな伏兵が待ち構えているはずですから、最後まで目が離せない作品になりそう……。今後とも楽しみですね!

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サイゾーウーマン
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料理や収納など暮らしに関する情報や、芸能、海外ゴシップの最新ニュースを連日発信中。ほかにも、皇室や女子刑務所のウラ話、万引きGメンの現場レポなど、個性豊かなコラムも展開。ほかとは異なる切り口で、女性の好奇心を刺激する記事をお届けします。
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