別れを前に不安だらけ
息子は無事に難関を突破、この春から中学生だ。夫は彼を家族旅行に招待したり食事に誘ったりと心から感謝しているようすだ。
「彼の弟は今も意識不明のままです。実家近くの病院に転院しました。彼も落ち着いて自分の人生を考え始めたところ。いずれにしても、もう彼がウチに来る必然性はなくなった。彼は『ときどき来ていい? それとも外で会う?』と言っていますが、息子の進学を機に私も少し仕事を始めようと思っているので、このまま関係を解消したほうがいいんだろうとわかってはいます」
ただ、彼女自身、この2年近く彼に依存している面が大きかったので、今は心が乱れているという。彼のいない日常を送ることが怖くてたまらないと彼女は目を潤ませた。
「夫とは長年、セックスレスです。関係は悪くないけどお互いに性的関係からは目を背けている感じ。夫には彼とのことがバレていないけど、もしかしたら薄々気づいているかもしれません。夫も外で浮気しているような気がするし」
それでも「家族」という形を壊すつもりはない。だからこそ、彼の存在が重要だったのだ。女として生きていくために、ひとりの人間として存在するために。
「ここで別れるのがベストなんです。だけど4月以降も彼が会いたいと言ったら、私は断ることができるんだろうか……。何だか苦しくてたまりません」
既婚女性と独身男性の恋においては、やはり女性側が主導権を握らなくてはいけない。ここが別れのタイミングだと感じたら、心を鬼にしても別れなければ、のちのち後悔することにもつながりかねないのだ。とはいえ、わかっていても別れられないのが恋というもの。リエさんの気持ちは今後、どう変化していくのだろうか。
<文/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
配信: 女子SPA!
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