モンスターペアレントとは?特徴や具体的事例・5つの対処法を解説

モンスターペアレントとは?特徴や具体的事例・5つの対処法を解説

3、モンスターペアレントの種類

一口にモンスターペアレントと言っても、その類型は概ね2種類に分かれます。

実際にモンスターペアレントと対峙することになった場合、適切な対処をとるために相手はどのような種類か見定めることはとても重要です。

(1)自己中心タイプ

すべての物事は自分が中心と信じて疑わず、相手のことを考えることができない自己中心的な性格の保護者は、わが子を自分の分身・自分の所有物と錯覚しているケースが多いものです。

そのような保護者は、学校などのように他の子供がいる場では

「自分同様に、すべてがわが子中心でなければならない」

と思い込みます。

だからこそ、自分の子供に対する逆境や思うようにいかないと認識したときは、そのような状況を教師や学校が作り出していると解し、クレームをつけてくるのです。

(2)病的タイプ

上記(1)のようなタイプを含めモンスターペアレントと呼ばれる保護者は、その言動が罹患する精神的な疾患に起因している場合があります。

保護者の言動に明らかな異常性が見られる場合は、早急に上席だけでなく関係する機関などと事案を共有し、対策を講じておく必要があります。

4、モンスターペアレントが生まれたわけ

モンスターペアレントと言われるような保護者の言動が顕在化するようになったのは、2000年前後です。

モンスターペアレントが生まれた要因は、時代背景や家庭環境、さらには教育現場の変化であると言えます。

その中でも主だったものを見てみましょう。

(1)家庭環境における過保護化

自己中心的な保護者は、自分の子供が例えば学校での成績が悪かったりクラスメートと仲良くできない理由を、自分の子供の努力不足や言動に求めるのではなく教師や学校に求めます。

つまり、自己中心的な保護者であるゆえに自責の念が無いことから、すべてを「他責」であると解決しようとするのです。

このタイプの保護者は、自分自身の親にもそのように育てられていた傾向があります。

自己中心的な親に対して、子供に自責の念を育てることを求めることは難しいでしょう。

(2)親の孤立化

一昔前の日本は自分または義理の両親と同居、あるいは近隣に住んでいることが多く、そして近所付き合いは密接でした。

現在よりも、子育ての悩みを気軽に言葉に出せる環境にありました。

ところが、現在は核家族化が進み近所付き合いも希薄化したため、昔と異なり子供のことを相談できる相手が身近にいなくなってしまいました。

さらに夫婦共働きが一般的になった一方で、夫の家事・育児の参加はまだ十分に実現されていないのが現状です。

このため、特に母親は子育てに加えて仕事上のストレスを抱え込むようになりました。

これにより、夫婦の間に軋轢が生じてしまうことも珍しくありません。

この結果、母親・父親ともに孤立してしまうことにより、その鬱屈を子供に関するクレームという歪んだ形で、教師や学校に向けるようになったのです。

(3)子供の生態を知らない親が増加

(2)で触れた核家族化などを原因として、未成年期や成人直後(20代の頃)などの子供を持つまでの間に、生活の中で子供に触れる機会が減っています。

自分の子供を出産して初めて赤ちゃんを抱っこした、という人が増えているのです。

そのため、子供とは一体どういうものなのか、実体験をもって知る人が少なくなっています。

子供は親にいい顔をしたり、親に嘘をついたりするものです。

しかし、そのような子供ならではの生態を知らない親が増えています。

そのような大人は、大人の価値観で子供を判断しがちで、殊に自分の子供の話を信用しすぎる親になる場合があるのです。

自分の子供を信用しすぎることにより、友達が悪い、先生が悪い、学校が悪い、という発想になります。

(4)教育現場への不信感の増加

いじめによる子供の自殺や学校によるいじめなどの事実の隠蔽、さらには教師による金品の横領や生徒への猥褻事件など、学校による不祥事や教師個人の犯罪は後を絶ちません。

もちろんこのようなことは絶対に許されるべきではありませんが、センセーショナルな報道もあり教師や学校に対して必要以上に不信感を持つ保護者は増えています。

そのなかででも偏向性の強い保護者は、何かきっかけがあるとモンスターペアレントとして執拗にクレームをつけてきます。

(5)学校等の威厳の低下

かつての教師や学校は、現在と比較して児童・生徒にはもちろんのこと、保護者に対しても威厳のある存在でした。

教師については、「聖職者」などという形容もあったほどです。

そして時代は移り変わり、特にビジネスにより生計を立てている保護者には、学校教育をサービスの一種と捉える考え方が広まるようになりました。

それにより、自分は消費者として対価を渡しているのだから、教師や学校は保護者や子供に対して対価に見合うサービスを提供する義務があると考える親が増えたのです。

これは公立学校だろうと私立学校だろうと変わりません。

このような保護者は、学校を一介のサービス業者・教師はその従業員程度としか考えていません。

だからこそ、クレームについても遠慮が何ひとつ無いのです。

また、難関大学出で一流企業などに勤務し、自分の子供にも同じような道を歩ませたいと考える保護者の中には、教師の学歴に着目することがあります。

そして仮に教師の学歴が自分よりも下だと認識した場合は、何かあると教師に対して「能力が無い」「○○大学程度しか出てないからダメなんだ」などと完全に見下すような態度でクレームを付けてくることがあります。

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