モンスターペアレントとは?特徴や具体的事例・5つの対処法を解説

モンスターペアレントとは?特徴や具体的事例・5つの対処法を解説

5、モンスターペアレント判断基準|正当な要求との区別

モンスターペアレント問題の難しさは、保護者のどのような言動や要求を以ってモンスターペアレントと定義するか、法的に明確な基準が存在しないことにあるとも言えるでしょう。

しかし、法律論にこだわらず学校や教師として子供に対する良識と義務を最優先に据えて考えれば、保護者からの正当な要求とそうでない要求の違い、すなわちモンスターペアレント判断基準がみえてきます。

(1)学校等に要求する親が全てモンスターペアレントなのではない

モンスターペアレントが社会的に問題視されているからといって、そのイメージを一人歩きさせ、教師や学校は保護者からの要求の全てについて被害者意識を持つべきではありません。

ましてや、教師や学校に要求を出す保護者はすべてモンスターペアレントであるなどというのような、決め付けや先入観を持つべきではありません。

そのような意識のもとに保護者からの要求を全て撥ね付けるようでは、教師や学校の義務を放棄していると言われても仕方ないでしょう。

自己中心的な発想に囚われず、本当に子供のことだけを真剣に考え要求を出してくる保護者も少なからず存在します。

そのような保護者からの要求の中は、子供の視座に立って聞いてみると正当なものや子供の幸福に資するものもあるはずです。

だからこそ、たとえ耳を塞ぎたくても保護者からの要求等にはまず耳を傾けてみてください。

(2)理不尽な要求と正当な要求の区別の基準

既に別の項でも触れましたが、モンスターペアレントの要求の共通項は自己中心的で理不尽であることです。

では、このような理不尽な要求に対して、正当な要求とは何を基準とするものなのでしょうか。

もちろん、要求内容に実行可能性があり常識性があるということが前提ですが、基準は

「自分の子供だけでなく、他の子供のためにもなる要求」

かどうかなのです。

例えば、

熱中症対策のためにスポーツドリンクの携帯を許可して欲しい
不審者対策のために学校周辺の見回りを強化して欲しい
○○君がタバコを吸っているので指導してあげて欲しい

などが挙げられるでしょう。

6、モンスターペアレントの事例  

以下では実際にあったモンスターペアレントからのクレームを、タイプ別に列挙していきます。

なかには目を疑うものもありますが、すべて実例です。

あなた自身だけでなく、周囲でもこのような事例がないか思い出しながら読んでみてください。

(1)自己中心型クレーム

①担任を変えて欲しい

多くの場合で、クレームを否定された際の最後の手段です。

②子供の席を指定

冬は寒いし夏は暑いから窓側と廊下側はやめろ、というケースがありました。

黒板が見える位置か、視力の問題もありますので、子供の視力は教師で把握しておきましょう。

③子供の事情(インフルエンザなど)で学校行事の日程を変更して欲しい

学校行事が日ごと、時間ごとに緻密に計画されていることを、保護者に説明しておくべきです。

④修学旅行の行き先を指定

グローバル化の時代はアメリカに行くべきだ、という趣旨でした。

学校側も、「例年だから」などの理由ではなく、自主的な理由を明確にして行き先を決定しましょう。

⑤クラス替え時の同級生を指定

合わない子供同士は必ずいます。

しかし柔軟な子供時代にそこを避けてしまっては、将来困るのは子供ではないでしょうか。

(2)学校等依存型クレーム

①挨拶ができる子に教育して欲しい

挨拶の教育は当然学校でもされています。

しかし、挨拶など、日常生活における社会マナーは、学校だけでは子供の人格形成に影響を与えにくいしつけです。

家庭での親の姿勢も大きな影響を与えることを話し合いましょう。

②時間通りに登校できないので迎えにきて欲しい

「子供の遅刻が多い」と教師から家庭に注意した場合の反論でしょう。

大人でも、遅刻が他人に与える迷惑について鈍感な人が多いです。

遅刻がもたらす子供本人へのデメリットはもちろんですが、時間を守るかっこよさも親子へ教えて差し上げてはいかがでしょうか。

③給食の食材品質(有機栽培など)を指定してくる

アレルギーは命に関わりますので対応しなければなりません。

腹痛や蕁麻疹などの症状が出るとの理由であれば、診断書のもと対応してください。

④学校で汚した服や上履きは、学校が洗え

共働きであったり被介護者がいる家庭では、毎日の洗濯、週一の上履きの洗浄も骨が折れる作業です。

家庭の声に気持ちだけでも寄り添いながら、身体の健全な発達を促す上で、学校では衣服が汚れる活動も必要なことを伝えましょう。

⑤昼食だけでなく、朝食と夕食も学校で支給しろ

未就学時代の保育所、幼稚園では、朝食や夕食のサービスもするところが増えています。

その流れで学校へも要求する事態となっているのでしょう。

しかし、食事の支度を学校側がしてしまったら、親が「親」になる機会を奪ってしまいます。

「親」になりたての6年間(幼児期)の間に、保育所や幼稚園の食事サービスを利用しながら、仕事などの育児以外のすべきことと育児との両立の仕方を親も学ばなければいけません。

そうして「親」になっていくべきです。

(3)義務放棄型クレーム

①給食代がかかることはおかしい

公立学校での給食代を全額税金で賄うべきかは、難しい問題です。

義務教育のあり方、給食代の財源など、難しい論点をはらんでいます。

学校の一担任と一保護者でバトルする内容ではありません。

保護者の意見として真摯に受け止めた上で、現段階では、平等の観点から、支払わない場合は給食を供給することが難しくなり、子供に悪影響が出てしまうことを説明しましょう。

また、払えない保護者に対しては、市町村の「就学援助」を案内するなど、前向きな話し合いをしていきましょう。

②呼び出されたが、行く義務はない

保護者は、学校で起こった我が子の問題がわかりません。

また、忙しい保護者は呼び出されても時間の都合をつけられません。

そのため、忙しい中どうしてこちらから行かなければならないの?となってしまいます。

子供の重大な点について共有が必要であること、そして当議題について学校という場が最適であることを伝えましょう。

呼び出しているのではなく、学校が場として最適であるだけです。

もし保護者側の必要性、子供が在宅していても問題ない許容性があれば、家庭訪問でも問題ない姿勢を見せましょう。

(4)その他

①授業がよくない

子供に中学受験をさせる保護者に、ありがちです。

②携帯代がもったいない、取り上げないで欲しい

学校への携帯持込禁止の趣旨を、親子ともに明確に説明しましょう。

③受験の模擬試験が近いから、修学旅行を欠席させる

有名校へ行けば子供の将来は明るいと、親は考えがちです。

やれば手が届くのではないか、そう思うと、1時間でも合格に無関係な時間を過ごさせたくないと考えてしまいます。

将来覚えているかもわからない4日程度の修学旅行の思い出と、有名校への合格を天秤にかけてしまう親の必死な気持ちに寄り添いましょう。

子育てを合理的に考えすぎると親が疲弊してしまうことを諭しましょう。

④自分の子(中学生)が下校中にタバコを吸って、何が悪い

この保護者は、未成年者喫煙防止法違反で書類送検されました。

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