3、夫婦別姓によって考えられる子供への影響
夫婦間では、夫婦別姓にお互いが納得していたとしても、夫婦別姓における子供への影響が気になる方もいるでしょう。
本章では、夫婦別姓の親の元に生まれた子供がどのようなことを感じるか、どのようなことに悩むかについてみていきましょう。
(1)親と姓が異なることへ疑問をもつ
周りの子供の父親・母親が同じ姓だと、子供は片方の親と姓が異なることに疑問を持つ可能性があります。
子供は、夫婦別姓や戸籍等の制度についてはよくわからないことがほとんどですから、親から説明をしてもらえないと事情をよく理解できないでしょう。
(2)同級生をはじめとして周りの人への理解が得られにくい
特に幼い子供同士なら、なぜ片方の親と姓が異なる子供がいるのか、理解できないケースの方が多いでしょう。
特に子供時代は、自分の家や自分が置かれている環境を「世の中の普通」と思う傾向にあります。
家族であるにもかかわらず、片方の親と姓が異なる子供の存在を理解できない子供もいると考えられます。
(3)親権がない親では法律行為等ができない
夫婦別姓を選択する人が認識しておかなければならないのが、「親権がない親は法律行為などができない」という点です。
例えば、子供と苗字が違う親(=親権がない親)が、子供の銀行口座を開設しようとするとします。
しかし、親権がないため、法定代理人として口座を開設することができません。
「親であるにもかかわらずなぜ?」という気持ちが湧き上がる方がほとんどかと思いますが、現在はこのような運用となっており、仕方がないことです。
4、「夫婦別姓は子供に悪影響」には根拠がない!
夫婦別姓に関して議論がなされると、夫婦別姓に反対派の人からは「夫婦別姓は子供に悪影響」という意見が多く出ます。
果たして、「夫婦別姓は子供に悪影響」という考えに、明確な根拠はあるのでしょうか。本章でしっかり解説していきます。
(1)夫婦別姓の子供は「男女平等」を強く認識できる
子供は、自分の家の事情や状況が、「世の中の普通」だと思う傾向にあるのが一般的です。
自分の両親が、自らの考え方に基づいて夫婦別姓を選択したということは、子供に「自分たちの考えを貫くことの大切さ」を教えてくれるといえます。
女性が我慢して自分の姓を男性の姓に合わせるのではなく、男女それぞれの姓を貫き通すことは、子供に男女平等の考え方を植えつけてくれるでしょう。
(2)親と苗字が違うというだけで家族の絆が弱くなるわけではない
「親と苗字が違うと家族の絆が弱くなる」という意見を主張する人がいますが、その意見には法的根拠がありません。
親と同じ苗字であっても、非行に走る子供は存在します。
同じ苗字であっても、親子の関係に亀裂が走っている家庭もあります。
今の時代は、法律婚をしている夫婦でも、離婚に至るケースが珍しくありません。「3組に1組は離婚をする時代」といわれているくらいです。
結局、どのような家庭を作るかは、苗字とは関係なく当人同士がしっかりと家族の絆を結ぶ意思があるかどうかにかかっているでしょう。
以上のことから、親と苗字が異なるというだけで家族の絆が弱くなるわけではないといえます。
配信: LEGAL MALL