検察審査会の仕事とは?職務・運用・審査員資格を徹底解説

検察審査会の仕事とは?職務・運用・審査員資格を徹底解説

5、検察審査員に関するFAQ

検察審査員として働く上での不安・疑問は、裁判所公式サイトで概ね回答されています。

以降、審査員の職務に興味がある人や、既に候補者名簿に挙がって質問票等の書類を受け取っている人のために、上記サイトから最もよくある質問を6つピックアップして紹介します。

(1)審査員報酬はどうなっている?

検察審査員として職務を行うためには本業を休まなくてはなりませんが、代わりに日当の支給があります。「検察審査員等の旅費、日当及び宿泊料を定める政令(以下「政令」といいます。)」(昭和24年第31号政令)第3条によれば、支給額は一日あたり8,050円以内です。

(2)交通費や宿泊費はもらえる?

審査会に出席するための交通費や宿泊費も、当然ながら支給対象です。

交通費は相当の範囲で支給され、宿泊費は地方により8,700円以内または7,800円以内が支給されます(政令第2条・第4条・第5条)。

(3)審査会に出るため会社を休んでも不利にならない?

検察審査会議のために本業を休んだとしても、雇用上不利になることはありません。

休暇を取る事は元より、審査員として選ばれたことを理由として解雇その他不利益な扱いをすることは、そもそも法律で禁止されているからです(第42条の2)。

(4)事件の関係者に報復されることはない?

一番心配なのは事件の関係者の逆恨みを買うことですが、危険な目に遭うことは基本的にありません。審査員の氏名住所等といった個人情報は厳重に保護されており、被疑者等だけでなく、審査申立人(被害者等)にすら知られることはありません。

審査会議自体も非公開で、議決書も一般に開示されることはありません。つまり、個別の意見の内容から身元を特定されてしまう可能性も、排除されているのです。

(5)審査情報はどこまで家族に話せる?

検察審査員やその候補者等になったこと自体は、周りの人に打ち明けても構いません。しかし、審査中知り得たことを周囲に漏らす行為は、たとえ相手が家族であっても禁止されています。

万一にも秘密を漏らしてしまった場合は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます(法第44条)。

(6)選抜は辞退できる?

検察審査会は広く国民に参加を求める制度であるため、原則として、検察審査員を辞退することはできません。しかし、一定の事情により検察審査員として活動できない場合は、書面(質問票)で申し出れば辞退することができます(法第12の5)。ただし、基本的には以下のいずれかに当てはまると認められる必要があり(法第8条各号)、例えば仕事が忙しい等の理由だけでは辞退は認められません。

70歳以上の人
学生および生徒
病気や海外旅行等のやむを得ない事情がある人
過去5年以内に検察審査員または補充員だった人
過去5年以内に裁判員または補充裁判員だった人
過去3年以内に選任予定裁判員だった人
過去1年以内に裁判員候補者として裁判員選定手続の期日に出頭した人(不選任の決定を受けた人を除く)
国会または地方公共団体の議会の議員(会期中に限る)
国または地方公共団体の職員および教員
重い病気、海外旅行、その他「やむを得ない理由」があって、検察審査会から辞退の承認を受けた人

まとめ

刑事事件を起訴するかどうかに関しては検察官の専権ですが、国民の視点を踏まえれば起訴すべき事件であると考えられる場合もあります。そんなときは「検察審査会制度」により選出された11人の国民の声を届けることができます。

本記事で解説した検察審査会は、決して他人事ではありません。審査員としてある日突然呼ばれることもあれば、あまり考えたくないことですが、ひき逃げ等の犯罪被害者として審査の申立人となることもあります。

そうでなくとも、簡単に仕組みを理解しておけば、検察審査会が関与する事件の報道に接するときに理解の助けになります。法曹系の資格を取得したいと考える人にも、大いに参考になるでしょう。

監修者:萩原 達也弁護士

ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
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