以前のように楽しく話をしたいと思ったら、一体どうすればいいの? 数々の夫婦からの相談を受けてきた家族問題コンサルタントの池内ひろ美さんに聞いた。
●意見は違って当たり前、まずは共感を!
「会話の前提として、たとえ自分の求めていた返事が返ってこなくても、自分と夫では異なる意見を持っているものと認識しましょう。相手を変えることはできませんが、妻から夫へのアプローチを変えるだけで、いいコミュニケーションが取れるようになります」(池内さん 以下同)
たとえば、よく耳にするのは妻が夫に今日あったことなどを話したら、正論をぶつけられたり、妻への批判があったりして感情的になってしまうケース。
「意にそぐわない反応であっても、まずは『そうよね、そういう考え方もあるのね』と、一度共感すること。いきなり『それは違うでしょ』と言えば、ケンカになるだけです。ワンクッションおいた後で自分の気持ちを伝えましょうね」
●夫が反応しやすいような話し方やタイミングを見極める
また、夫からの的外れな回答にモヤモヤを感じる妻もいる。池内さんによれば、夫は妻が話したことに対して、たいていはアドバイスを間違えるという。
「これは妻の話が長いからです。立て板に水のように話すと、夫はどこにどう反応をしたらいいのかわからなくなります。ポイントを絞り、15秒1テーマで話すと伝わりやすい」
そして、話しかけるタイミングも重要だとか。
「たとえば、夫がいつもテレビを見てばかり…と話す妻もいますが、ずーっと見ているわけではないですよね。トイレに立って戻ってきたタイミングやCMのときなど、合間を見つけましょう。でも、いきなり自分の話したいことを話すのではなく、ビール好きの夫ならまずは『ビールを飲む?』など、相手にとってうれしいことから話しかけてくださいね」
話しかけるときは妻が何か別の作業をしていても、おへそを向けて相手を見ること。こうすることで、「あなたをないがしろにしていませんよ」というサインになるという。また、話すときは夫の話すテンポとボリュームに合わせると、夫も聞きやすくなるのだとか。
●夫と話したいと思うなら、相手が興味関心を持つ工夫を
「もうひとつ意識したいのは、『ありがとう』と『ごめんなさい』の2語。最初は言葉に心がこもっていなくてもかまいません。音として伝わればいいですし、心はあとからついてくるもの。ちなみに、『ごめんなさい』は謝罪ではなく、『エクスキューズ』の意味で使ってみましょう。もし夕飯を作っている最中に夫から『ごはんまだ?』と言われたとして、『私だって忙しいのだから、まだよ!』と返すよりも、『ごめんね、忙しくてまだなの』と伝えた方が、同じ内容でも異なる印象で受け止めてもらえます」
さらに、「ありがとう」などの綺麗な言葉を使うと、表情も自然と美しいものになっていくのだとか。
「夫とのコミュニケーションで一番大事なのは『かわいげのある女』になることです。これは、顔立ちのかわいさは関係ありません。夫と話をしたいと思うなら、『あなたが話を聞いてくれるからうれしい!』というように、相手を褒めると夫も話を聞いてくれるようになります。夫に大切にされたいと思うからこそ、努力する妻のかわいらしさがあります」
そもそも、身近な人物である夫と会話がかみ合わないのは、自分のコミュニケーション能力が下がっているサインでもあるという。「夫との会話は無理」とあきらめるのではなく、どうしたら伝わるかを考えると、夫との会話が楽しい時間に変わるかもしれない。
(南澤悠佳/ノオト)