●中傷投稿の相手とトーナメントで戦う気まずさ
東京地裁が2022年5月、投稿者の発信者情報開示を命じて、同年6月に小野寺さんにも情報が伝えられた。
日身ア連は、競技者等行動規範で、競技者らへの名誉毀損行為を禁止している。また、競技者の行動規範違反を知った場合には連盟への報告も義務づけている。
小野寺さんは同月、日身ア連などに重定さんの投稿を報告。さらに懲戒請求も申し立てた。
ここまでは、あくまでスポーツマンシップ違反と捉え、すでに進めていた刑事告訴の取り下げも視野に入れただけでなく、民事訴訟の提起までは考えていなかったという。
ところが、その間に重定さんは国内外での競技や大会への出場を続けていた。法的に名誉毀損を確定させようと考え、同年11月に今回の裁判を提訴した。
「開示請求訴訟の判決後も、何度かトーナメントで対戦して向き合う機会もあり、不快な思いをしました。相手の代理人から連絡はあっても、本人から直接の謝罪はありません。開示請求にも少なくない弁護士費用がかかりますし、次の損害賠償請求訴訟を戦うためにも、改めてバイトして費用を稼ぎました」
小野寺さんによれば、日身ア連からは「小野寺さんと重定さんの訴訟が終わってから重定さんの処分を検討する」という考えを伝えられたという。
●「ノーコメント」の重定さん、小野寺さんは控訴の行方を見守る
取材を求めたところ、重定さんからは代理人弁護士を通じて「ノーコメント」の考えを伝えられた。ただ、新聞などには控訴する方針も報じられている。
小野寺さんは地裁判決には納得しており、「こちらから控訴する理由はない」としている。
配信: 弁護士ドットコム