等妙寺を建立した理玉ってどんな人?
理玉は淡路出身、天台宗の総本山・比叡山で学んだ僧侶です。
平安時代の終わりごろ、日本は飢饉・疫病・戦が続き、多くの民衆が苦しみ、比叡山でも修行がおろそかにされ、僧の戒律が守られていませんでした。
そんな時に、天台宗の開祖・最澄(さいちょう)がいた頃の天台仏教を取り戻し、貧しい人々や病人を救済しようと立ち上がった僧侶のうちのひとりが理王です。
【奈良山等妙寺歴史交流館】では、そんな理王や天台宗についても知ることができます。
仏教のお話と聞くと難しく感じるかもしれませんが、大画面モニターでの動画やイラストを多用したパネルやパンフレットがあるので、とっても分かりやすい!
最大50人程度の体験学習やワークショップなど、多目的に利用できるメインホールでは8畳までたたみを置くことができ、法衣など僧侶の着付け体験もできますよ。
展示室内は3つのセクションに分かれていて、等妙寺旧境内やその発掘調査の様子について、現代までどう守り・伝えられてきたのかなどを細かく学ぶことができます。
奈良山等妙寺歴史交流館のイチオシ!
なかでも、【奈良山等妙寺歴史交流館】のイチオシの展示はこちら。
等妙寺のご本尊である「木造菩薩遊戯坐像 伝如意輪観音(もくぞうぼさつゆげざぞう でんにょいりんかんのん)」が岩の上に現れる有機ELディスプレイ。
こちらは愛媛県指定有形文化財にも指定されていて、60年に1度のご開帳でしかお目にかかれない秘仏。
13世紀前半の作品で、運慶・快慶らを輩出した慶派仏師の作と考えられています。
左足を立膝にして岩座に座っている仏像は、日本でもこの像が唯一!
そして、今に伝わる授戒道場(じゅかいどうじょう)を360度VRで体験できるタブレットにも注目!
かつて等妙寺では、12年の間、学問を修め厳しい修行を積んだ僧に資格を与える重授戒灌頂(じゅうじゅかいかんじょう)という特別な儀式が行われていました。
その儀式を現在まで伝える天台真盛宗総本山西教寺(滋賀県)の授戒道場の内部をVRにて公開。
実際にその場にいるような臨場感でじっくりと内部を観察できますよ。
他にも、展示室内には歴史的な発見がいっぱい!
こちらの「褐釉龍文壺(かつゆうりゅうもんこ)」は、国内では10例ほどしか見つかっていない貴重な出土品。
龍の頭部を模した破片が数多く見つかり、それをもとに復元したレプリカを展示しています。
こういった貴重な品は物資が集まる港や流通拠点、権力の中枢地付近での出土が目立ちます。その中で「等妙寺旧境内」で発見されたということは、それだけ信仰や文化の重要な地として地元民からだけでなく、日本中から親しまれていたと思われますね。
配信: イマナニ