「寄り添い」を大事にしていたのに
行政の協力もあおぎ、なんとか医療につなげようとするダイスケさんだが、妻はカウンセリングを伴う“寄り添い”的なものを極端に嫌悪している。もちかけると「それで何が救われるんだ!」と悪態をつく。
「ママ友たちと魂の対話とか潜在意識のなんちゃらワークとか、あれだけ好んで取り組んでいたのに、もうそうしたものと関わり合いたくない、対話も寄り添いも私に何ももたらしてくてくれない、一切の期待をしないと、頑なに拒否しています。素人のそれと医療のものは、また違うと思うのですが、聞く耳を持ちません。
いまはかつての妻とは真逆に、推し活に全振りしています。自分は妻の対応と心情を専門家と一緒に考え、ワンオペ状態で3人の子どもの世話をする毎日です」
妻は、何になりたかったのか
何者かになりたかった母たちと、巻き込まれる家族たち。
自己実現の模索のなかで、子どもによりよいものを与えたいジレンマもあるだろう。程度の差はあれど、多くの人が足を踏み入れる可能性のある沼なのかもしれない。
<取材・文/山田ノジル>
【山田ノジル】
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru
配信: 女子SPA!
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