サックス奏者の卵としては合格
第96回のナレーションでも説明される通り、1950年代は、朝鮮戦争による戦争特需で日本経済は活気づく。繁華街にはナイトクラブがオープン。ジャズメンたちが腕を競いあった。
1953年に結成されたジャズバンド「ビッグ・フォー」のジョージ川口は当代一の名ドラマーとされ、父の川口養之助はサックス奏者だった。1956年には現在94歳のジャズレジェンド穐吉敏子が、日本人で初めてバークリー音楽院に留学した。
ジャズの黄金期にサックス奏者を夢見たのが直治なのだ。サックス奏者というのはどこか飄々としてユーモラスな人が多い。筆者が所属するクラシック音楽のプロダクションでもちょっと落語家っぽい独特の話し方で軽妙に世を渡る名手がいる。
かつて「こりこりまりもっこり」を歌っていた今井が、25歳でサックスを吹く若者を演じれば自然とユーモラスになる。直治を見ていると、彼の演奏レベルの良し悪しは現時点ではどうあれ、サックス奏者の卵としてあの雰囲気は合格だなと。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
配信: 女子SPA!
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