歯周病の原因は、歯と歯肉の境目にある歯肉溝に口の中の細菌により形成される歯垢と呼ばれるプラークです。健康な場合、歯肉溝は1〜2mmの深さですが、歯垢に存在する細菌により炎症が起こると溝が深くなります。深くなった溝を「歯周ポケット」といい、歯の表面の歯垢から時間をかけて形成されるのが「バイオフィルム」です。
バイオフィルムの形成
バイオフィルムは、細菌が薬剤や免疫反応などの外的要因から身を守るために仲間を増やし、より強固なバリアとなります。通常、歯磨き後8時間後からバイオフィルムは形成されはじめ、72時間後には完全なバイオフィルムになるといわれています。歯垢をためずバイオフィルムを形成させないためにも食後の歯磨きが重要です。バイオフィルムはネバネバとした強い粘着性を持ち、歯にこびりつきます。普段の歯磨きでは除去が困難になり、さらに細菌はどんどん菌を巻き込みます。歯周病が悪化すると歯周ポケットが深くなり、周囲の骨も溶かし、最終的には歯が抜けてしまいます。
バイオフィルムのからだへの影響
バイオフィルムはからだ全体に悪影響を及ぼします。たとえば、歯周病菌の刺激による心筋梗塞や脳梗塞の促進、糖尿病とは相互的に悪影響を与えます。他にも免疫力低下やホルモンバランスの変化で歯周病菌が増えると、誤嚥性肺炎や妊娠性歯肉炎を発症しやすくなります。バイオフィルムを作らず、歯周ポケットをきれいにしておくことが全身の健康につながります。バイオフィルムのもとである歯垢をためないためには、毎日のケアが最も重要です。
配信: 医科歯科健診コラム