前歴のデメリットとは?前科との違いやデメリットを回避する方法

前歴のデメリットとは?前科との違いやデメリットを回避する方法

3、前科と前歴でデメリットを比較

「前科・前歴」は一括りにされることが多いので、前科がつくデメリットと前歴がつくデメリットは同じだと誤解している人も少なくありません。

しかし、前科・前歴のデメリットには以下のような違いが存在するので、両者はまったく別物です。

前科・前歴共通のデメリット

・捜査機関に情報が残り量刑に影響がある場合も

・インターネット上に情報が残り続けることもある

前科のみのデメリット

・捜査機関の記録簿だけではなく、本籍地の市区町村に備え付けられている「犯罪人名簿」に前科データが登録される

・就職活動や転職活動で不利になる可能性がある(有無を聞かれたのに隠蔽すると経歴詐称)

・勤務先から懲戒処分を下される可能性がある

・資格制限や職業制限を受ける仕事がある

・出入国において、ビザ発給やパスポート取得に制限がある可能性がある

・中には前科の数によってより重い法定刑を定めている犯罪もある

・薬物犯罪の前科では職務質問が厳しくなる可能性がある

・選挙権や被選挙権が制限されることもある

前歴のみのデメリット

なし

前科・前歴に共通するデメリットや、前科のみのデメリットは存在しますが、前歴固有のデメリットは想定し難いのが実情です。

前歴だけではなく前科がつく段階になると、その後の社会生活に及ぼすデメリットが過大なものになるという点も押さえておくべきでしょう。

たとえば、転職活動の際に提出を求められる履歴書の「賞罰欄」には、前歴の記載義務はありませんが、前科は記載しなければいけないことになっています。

つまり、前歴を申告しなくてもペナルティが科されることはありませんが、前科を申告しなければ経歴詐称を理由として採用後に懲戒処分を下される可能性が高まります。

特に、金融関係の仕事はかなり厳しく身元調査が実施されるので、転職活動はかなり厳しくなるでしょう。

また、前歴にとどまらず前科がつく事態になると、現在の仕事にもデメリットが生じかねません。

たとえば、公務員や公認会計士・司法書士などの士業、警備員、医師、看護師などの場合、前科がつくことで資格が取消しになるなどして職業制限を受ける可能性があります。

これに対して、前歴しか残っていない場合には、それだけをもって職業制限が生じる可能性は低いでしょう。外国人の場合にも、前科は退去強制事由になっている場合があります。

このように、前科と前歴のデメリットはまったく違うので、何かしらの犯罪の嫌疑をかけられたときには前科がつかないように、つまり起訴されて有罪判決が下されないように適切な防御方法をとるのが重要だと考えられます。

4、前歴はばれる?

前科や前歴の情報は捜査機関が保管するデータベースなどに保管されますが、プライバシー保護の観点から、無関係の第三者や報道機関が照会することはできません。

したがって、犯歴記録や前歴簿の内容が流出して前科・前歴がバレる可能性はゼロに近いと考えられます。

その一方で、すでに報道されたニュースソースやSNSなどで拡散された情報がインターネット上などに残っている場合には、家族や知人、会社などに前歴・前科がバレる可能性があります。

前歴がついていることが周囲の人にバレると、以下のようなデメリットが生じかねないでしょう。

現在の勤務先にバレて就業規則違反を理由に何かしらの懲戒処分を受ける可能性が生まれる
職場にバレて居辛くなる、仕事がやりにくくなる、社会的な信用を失う
パートナーにバレて夫婦関係に亀裂が入ると離婚トラブルに発展しかねない
婚約者や相手方の家族にバレると結婚が破談になる可能性もある
大家さんにバレるなどして賃貸物件を借りにくくなる
部屋を借りるときやローン契約のときに、親族などが誰も保証人になってくれない

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