7、前歴が気になるときは弁護士に相談を
前歴や前科が気になるときには弁護士に相談するのがおすすめです。
なぜなら、刑事弁護の実績豊富な弁護士に相談することで、以下のメリットが得られるからです。
事件を総合的に考慮して、前科を回避すべきか、前歴も回避できる状況なのかを判断してくれる
刑事手続の段階に応じて、犯人が受けるであろう社会的デメリットをできるだけ軽減するための対策をとってくれる
逮捕後身柄拘束中の被疑者に代わって、被害者との間で早期に示談をまとめてくれる
会社や学校への影響など、犯人の置かれた社会的立場に応じて、前科・前歴がどのようなデメリットをもたらすかを事前に教えてくれる
前科・前歴によってデメリットがもたらされる場合には、社会生活を送るうえでのデメリットをできるだけ軽減するための方法をアドバイスしてくれる
インターネットに残された犯罪の情報を削除するために動いてくれる
前科や前歴のデメリットを回避できるかは、いかに早いタイミングで罪を犯した後のケアに着手するかがポイントになります。
刑事事件のノウハウが豊富な弁護士に相談して、社会生活への悪影響をできるだけ軽減するためにサポートしてもらいましょう。
前歴のデメリットに関するQ&A
Q1.前歴とは
前歴とは、警察・検察などの捜査機関による捜査対象になった履歴のことです。
逮捕されたか否か、起訴処分を下されたか否か、有罪判決を言い渡されたか否かなどは関係なく、刑事手続き上の捜査の対象になっただけで前歴は残ります。
なお、前歴は法律用語ではなく一般用語に過ぎないので、論者によっては、前歴を「逮捕された経歴」と限定的に解することもあります。
Q2.前科との違い
前科とは、有罪判決を受けた経歴のことです。懲役刑・禁錮刑(改正刑法施行後は拘禁刑)・罰金刑・科料などの判決が確定した場合だけではなく、執行猶予付き判決が下されたケースでも有罪であることに変わりはないので前科がつきます。
判決と同一の効力を有する略式命令(刑事訴訟法470条)や交通事件の即決裁判による場合でも同様に前科がつきます。
つまり、前科があると前歴はかならずついていますが、前歴がついているからといって前科があるとは限らないということです。
たとえば、電車内で痴漢行為に及んだために迷惑防止条例違反で現行犯逮捕されたが、初犯であり、被害者との間で示談が成立したために、不起訴処分が下された場面について考えてみましょう。
このケースでは、現行犯逮捕されて警察・検察において被疑者として一定の取り調べを受けているため、前歴は必ずつきます。
しかし、検察官による起訴・不起訴の判断がされる前に示談金の支払いが済んでいるため不起訴処分を獲得できており、起訴されることはなく有罪判決は言い渡されていませんので前科はつきません。
前科・前歴はいっけんよく似た用語に誤解されがちですが、まったく別の事象を指すと言えます。
Q3.前歴のデメリット
どのような刑事手続きを経るかにかかわらず、捜査対象となると前歴は残ります。そのため、前科ほどのデメリットが生じるわけではありません。
ただし、一般的な生活を送っていると前歴がつくことも珍しいわけですから、前歴が残ると以下のようなデメリットが生じるのもやむを得ないと考えられます。
捜査機関に前歴の記録が保管され続ける
インターネット上に情報が残って実生活への支障が生じ得る
まとめ
前歴特有のデメリットは大きなものではありません。
罪を犯したときには、むしろ「前科によるデメリット」に危機感をもって、逮捕されずに事件終結を目指したり、不起訴処分獲得に向けて動き出すべきでしょう。
そのためには、刑事手続きの流れや捜査機関の活動実態に詳しい弁護士の助力が重要です。
犯罪が発覚するおそれが高かったり、すでに捜査の手が及んでいたりするなら、すみやかに刑事弁護の経験豊富な弁護士に相談をして、前科・前歴を回避するための弁護活動を展開してもらいましょう。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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