5、立件された、立件されそうなら弁護士に相談を
警察に逮捕されてしまった場合や、送検されて速やかな対策が必要な状況ならば、出来るだけ早く弁護士に相談してください。
なぜなら、刑事事件に強い弁護士に相談すれば、刑事手続の進行を少しでも有利にできたりするからです。
具体的には……
今後の刑事手続・裁判手続の方向性を予想して現段階で必要な措置についてのアドバイスを行うことができる
取調べで捜査機関に話す内容や黙秘の方針を相談できる
身柄拘束中の被疑者に代わって被害者との示談交渉を進めてくれる
早期に弁護人が選任されることで捜査機関による理不尽な取調べ・供述の強要を回避できる
勾留を回避するためのアドバイスを得られて社会生活への悪影響を軽減できる
起訴されても執行猶予判決や有利な量刑判断を獲得するために訴訟活動に尽力してくれる
逮捕・勾留されている被疑者には、弁護人を選任する権利が与えられています。
また、取調べ等を過大に阻害しない限り、いつでも弁護士と接見して時々刻々と変化する捜査状況への対応方法を相談することも可能です。
限られた時間内に被疑者側が十分な防御活動を行うためには迅速な対策が不可欠です。
国選弁護人が選任されるのは勾留された後ですので、勾留がされる前に刑事事件の実績豊富な私選弁護人に依頼をするべきでしょう。
立件に関するQ&A
Q1.立件とは?
「立件」という言葉は刑事訴訟法や刑事訴訟規則といった法令、警察白書といった政府統計にはみられない、いわゆるマスコミ用語です。
立件とは法律用語ではなく、したがって法律上の定義も存在しません。
新聞やニュースサイトの報道内容では、以下のように、複数の異なる刑事手続の段階で「立件」という言葉が使われているのが実情です。
警察が、被疑者を逮捕したとき
警察が、被疑者を検察に送致したとき
検察官が、送致された被疑者について公訴を提起したとき
たとえば、「振込詐欺県内初立件、容疑者を詐欺罪で逮捕」とか、「〇〇県煽り運転事故、立件に向けて実況見分実施」といった言い方で使用されますが、マスコミのいう「立件」という言葉が何を意図しているのかは一義的に明確ではありません。
また、辞書によっては「検察官が公訴提起に足りる要件を具備していると判断し、事案に対応するための措置をとること」と定義されることもあります。
この定義によっても、刑事訴訟手続上どのような意味合いか、特に「措置」とはどのようなものか、必ずしも明確とはいえません。
Q2.立件されるまでの流れ
刑事事件が起きたからといって、すぐに立件されていきなり裁判が始まるということはありません。
立件とは、あくまで警察の捜査のスタート地点です。
裁判が始まるまでには、最終的に検察官が公訴提起の要件を充足するか否かの判断をするためには、十分に捜査を行うことが欠かせないからです。
身体拘束を伴う刑事事件では、裁判が始まるまでに以下の流れを経るのが一般的です。
警察等の捜査機関による犯罪事実の認知
被疑者に対する任意の事情聴取、警察等による捜査
被疑者に対する逮捕・勾留中の取調べ、補充捜査
検察官による公訴提起
Q3.立件されないための対処法
現行犯として警察に事件を認知されてしまった場合を除けば、刑事事件の発生から警察による捜査の開始、すなわち立件までにはタイムラグがある場合がほとんどです。
警察が事件を認知するルートとしては事件の関係者からの通報、被害届の提出や告訴、告発などがあります。
事件の関係者にこれらをしないでもらえれば、事件が警察に認知されることなく、もしくは、認知されたとしても社会的なダメージを伴うような捜査活動が開始されることなく、いわば穏便に済ませることができる可能性があるといえます。
示談交渉等の適切な対処を行うことで被害者をはじめとする事件の関係者との間で刑事事件化させないことを約束できれば立件されずに済む可能性は高いのですが、どうしても被害者の方と加害者の方が直接やり取りをすることは難しかったり、そもそも被害者の方の連絡先がわからないということも多いです。
このような場合にはそのまま捜査が進展して逮捕・勾留といった身柄拘束につながりかねないため、できるだけ早く示談交渉の実務に詳しい弁護士に依頼することで、示談を成立させるよう動いてもらうべきでしょう。
配信: LEGAL MALL