年金の手取り額を見て「なんで?!」ねんきん定期便の記載額より少ない。FPが年金の仕組みを解説

所得税の計算方法

では、平均的な年金受給者の例で、所得税の計算をしてみましょう。

 

Aさん(68歳)の年金収入は200万円で、他に収入はありません。専業主婦期間が長かった妻(66歳)の年金は90万円、健康保険料と介護保険料は合わせて14万円です。

 

(1)所得額の計算

まず、Aさんの公的年金等にかかる雑所得の額を計算しましょう。上記の表を参考にして

 200万円 - 110万円 = 90万円

 

(2)所得控除と課税所得額の計算

Aさんの妻は、年金収入が90万円で公的年金等控除額の110万円より少ないので、配偶者控除の対象です。従って、対象となる所得控除は基礎控除(48万円)、配偶者控除(39万円)で、社会保険料は14万円です。

 

控除額の合計は

 48万円 + 39万円 + 14万円 = 101万円

 

よって、課税所得額は

 90万円 - 101万円 ≦ 0

 

所得額より控除額のほうが大きいので、Aさんが受け取る老齢年金の所得税は非課税となり、源泉徴収されることはありません。同様に、住民税も非課税です。

 

年金受給者の確定申告

公的年金等の収入が400万円以下で、その他の所得金額が20万円未満の場合、確定申告は不要です。この条件を下回っていたら、自分の年金から所得税が源泉徴収されていないからといって、確定申告する必要はありません。

 

一方、源泉徴収されている方でも、住宅ローン控除、医療控除、雑損控除などで所得税の還付を受けたい方は、確定申告すれば還付を受けられる可能性があります。

 

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