3、「ツーブロック禁止」は合法な校則?
では、肝心な「ツーブロック禁止」の校則は、守るべき合法な校則と言えるのでしょうか?
本項で一緒に確認していきます。
(1)まずは校則の内容の確認を
実は、校則で明確に「ツーブロック禁止」と定めている学校はそれほど多くありません。多くの学校は、「奇抜な髪型は禁止する」とか、「髪型は中学生(高校生)らしい端正なものとし、加工等は禁止する」という曖昧な定め方になっています。
こうした曖昧な校則の場合には、ツーブロックが明確に禁止されているわけではありません。先に挙げたような校則の内容ですと、ツーブロックは最近社会人にも流行しているもので「奇抜なもの」ではなく、また、ツーブロックはパーマと違って「加工」するものでもありませんので、これらの校則に対しては「ツーブロックは校則で禁止された髪型には含まれない」と主張することができます。
校則がどのように定められているか、しっかりと確認しましょう。
(2)ツーブロックを禁止にする根拠はあいまい
冒頭にあげた都議会での問答でもわかりますように、ツーブロックを禁止する明確な根拠はありません。東京都の教育長でさえ、「ツーブロックの髪型は事故や事件に遭いやすい」という、根拠不明で曖昧な理由しか回答できないものなのです。
先に説明したとおり、人権を制約するルールを定める際は、とても慎重な検討がなされなければなりません。こうした曖昧な理由しかない場合、校則の有効性も問題となってきます。
(3)ツーブロック禁止校則は違法の可能性もある
本来、校則というのは、学校の秩序維持のために必要最小限のことのみが定められるべきで、学生の個々の自由を制限するのは最小限に抑えられなければいけません。
学生の自由は、憲法により保障されるもので、最大限尊重されるべきものです。ツーブロックを禁止する校則は、学生の髪型の自由を制約するものであり、仮にこの校則に基づいて、ツーブロックの学生へ何らかの処分が下された場合、かかる処分が違法なものであると判断される可能性もあると考えられます。
先ほど触れましたように、校則の内容について学校側に裁量権があるといっても、無限定な裁量権があるわけではありません。学校側の裁量権は、生徒を保護するために必要最小限の範囲内においてのみ認められるものです。
4、不当な処分を受けた際の対処方法
とはいえ、校則が違法であるのかどうかは、個別具体的に検討されなければ明らかにはなりません。「私は違法だと思うので従いません」と言って校則を一方的に破った場合に、何らかの処分を受ける可能性があります。
そのため、存在する校則にはとりあえず従っておくというのが、多くの人が選択している対策なのではないでしょうか。
しかし、実際に理不尽な処分を受けてしまった場合、その処分に対して意見を述べることは、とても有意義な行動だと思います。
合理性のない校則に基づき処分を受けてしまった場合は、毅然とした態度で臨むことも取り得る手段の一つであるといえます。
配信: LEGAL MALL