災害の恐れがある「暴風」とは? 風水害に備える防災グッズも紹介


暴風とは、重大な災害の恐れがある強い風のことをいいます。自宅の暴風対策と、備えておきたい防災グッズなどを紹介します。

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自宅における暴風への対策

暴風時は風にあおられて転倒したり、飛来物や落下物にぶつかってケガをしたりする危険があります。また、家の屋根や窓ガラスなどが壊れる被害も報告されています。

台風や低気圧などによる暴風は強い雨を伴うことが多く、洪水や土砂災害にも注意が必要です。

暴風が予想されるときは、身の安全を守るために、外出は控えてください。

あわせて自宅では下記のような暴風対策をとりましょう。風が強くなってから作業をするのは危険なので、台風が近づいているときなどは、早めの対策が重要です。

窓・雨戸を閉め、補強する

風が家の中に吹き込むのを防ぐために、窓を閉め、鍵をかけましょう。窓に雨戸やシャッターがついていれば、昼夜を問わず閉めてください。風で飛ばされたものが窓にぶつかり、ガラスが割れる被害を予防できます。

窓ガラスが割れて風が家の中に吹き込むと、ガラスの破片が散乱してケガをする恐れがあります。雨戸やシャッターがない窓の場合はカーテンやブラインドを閉めておくと、ガラスが割れてしまったときの飛散防止対策になります。

台風が迫っているときなどは、窓ガラスにガムテープや養生テープを貼るという対策もあります。これは、窓ガラスそのものを補強するというよりは、割れたガラスの飛散防止が目的です。窓ガラスの飛散防止用フィルムなどを使用すれば、窓の見た目を損なわずに、普段から暴風・台風対策ができます。

また、窓にプラスチック製の板(プラダン、プラベニヤ)を貼って補強する方法もあります。


引用:アサヒペン「窓ガラス用 ガラス飛散抑止防災テープ」 


引用:ニトムズ 「ガラス飛散防止テープ」 

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風で飛ばされるものを固定・収納する

暴風で窓ガラスが割れる原因の多くは、風で飛ばされてきたものがぶつかることです。庭の植木鉢や、玄関先の傘立てなど、風で飛ばされる危険のあるものは屋内にしまうようにしてください。ベランダの物干し竿も、風に押されて落下することがあるので、あらかじめ台から外して下ろしておきましょう。自転車はロープなどを使って、家の塀などに固定します。

暴風で飛ばされたものにぶつかると、大きなケガの原因にもなりますので、しっかりと対策をしておきましょう。

なお、屋根の瓦も暴風で飛ばされることがありますが、自分で屋根に上って対策を行うのは危険です。屋根に不安がある場合は、暴風の危険がさし迫っていないときに、信頼できる業者に相談してください。耐風性の高い工法の屋根にすることで、強風による被害を抑えることができます。

 防災グッズを準備する

暴風時には外出を自粛して食料の買い出しに行けなくなったり、停電などが発生したりする恐れがあります。飲用水、非常食、懐中電灯、ラジオなど、基本的な防災グッズを手元に用意しておきましょう。台風により洪水や浸水、土砂災害などの危険がある地域では、避難を想定して持ち出し用のリュックにまとめてください。


引用:アイリスオーヤマ「乾電池式携帯充電器付き防災リュック 40点(保存食付き)」 

暴風で窓ガラスが割れたときに備えて、応急処置用のブルーシートとガムテープなどを用意しておくとよいでしょう。大雨を伴う場合は、河川の氾濫や、低い土地・地下への浸水に備えて、土嚢(どのう)を用意しておくと安心です。


引用:ユタカメイク「ブルーシート 2.7m×2.7m」 


引用:アイリスオーヤマ「緊急簡易土のう」 

暴風の中では傘をさすことができません。避難が必要になった場合を想定して、上下が分かれたレインウェア、もしくはカッパ型のレインコートなどを準備しておきましょう。


引用:ウィンターチェリー「レインウェア 上下セット」 

避難経路を確認する

災害の危険が迫っているときには、いつ・どこへ・どうやって避難をするか、速やかな判断が求められます。自宅近くの避難所の場所と、避難経路を確認しておきましょう。

地震の際には、広い公園など倒壊してくる建物のない避難場所に逃げることもありますが、暴風・台風の際は屋外ではなく、学校の体育館や地域の公民館などが避難所となります。

近くの公園などが避難の一時集合場所に指定されていて、地域の人々がまとまって避難所に向かう場合もあるので、日頃から地域の防災訓練などに参加して、避難方法を確認しておくとよいでしょう。

自治体が発令する避難情報は、警戒レベル5の「緊急安全確保」まで5段階に設定されています。警戒レベル5はすでに災害が発生していてもおかしくない状況であり、市町村が災害の状況を確実に把握できるとは限らないなどの理由から、危険が迫っていても必ずしも発令されるとは限りません。

警戒レベル4の「避難指示」が出たら、全員が避難をすると考えてください。

高齢者や障害のある方、乳幼児がいる家庭などは、避難に時間がかかることを想定して、さらに早いレベル3「高齢者等避難」で行動することが推奨されています。

テレビ・ラジオ・インターネットなどで知らされる避難情報、ならびに気象庁が発表する注意報・警報をしっかりと確認しましょう。

出典:内閣府「避難情報に関するガイドラインの改定(令和3年5月)」

 最新情報を入手する

もし停電が発生しても、最新の防災情報にアクセスできるよう備えておくことが大切です。大型の台風が接近しているときなどは、情報収集や緊急連絡の手段となるスマートフォン・携帯電話をあらかじめ充電して、電池切れを起こさないようにしましょう。また長時間の停電に備えて、モバイルバッテリーを用意しておくと安心です。ソーラー充電、手回し充電ができて、モバイルバッテリーとしても使える防災ラジオなども市販されています。


引用:Mesqool「防災ラジオ」 

 不要な外出を控える

雨や風の様子を見に外へ出て、ケガをしたり命を落としたりする事故も起きています。たとえ仕事場の様子が気になるなどの理由があったとしても、暴風警報や大雨警報などが出ているときは身の安全を一番に考え、外出を控えるようにしてください。

なお、暴風の影響により海の波が高くなることがあります。潮の満ち引きにあわせて海面が急上昇する高潮が発生する恐れもあるので、たとえ晴れていても、風が強いときに海水浴などに出かけるのはとても危険です。波浪警報や高潮警報にも注意して、暴風時には不用意に海岸に近づかないようにしてください。

停電の対策を行う

停電は、生活に様々な影響をもたらします。

まず、夜に備えて灯りを確保することが大切です。懐中電灯以外にも、両手が使えるヘッドライトや、部屋全体を明るくしてくれるランタンなど、アウトドアなどにも利用できる便利なアイテムが数多くあるので、購入を検討してみてください。


引用:UMIONE 「ヘッドライト」 


引用:dadaz LED 「マルチライト」 

停電時には、IHコンロや電子レンジ、冷蔵庫などが使えなくなります。非常食として、そのまま食べられるレトルトご飯や、おかずになる缶詰などを用意しておきましょう。

パネルを操作して水を流すタイプのトイレは、停電すると水が流せなくなります。手動で水を流すことのできる小さなつまみが本体についている場合もあるので、確認してみてください。

また、バケツの水を使ってトイレを流す方法もあります。停電の恐れがあるときには、浴槽やバケツに水をためておくようにしましょう。

ハザードマップを確認しておく

ハザードマップ(防災マップ)とは、自然災害による被害を軽減し、防災に役立てるために作成される地図です。被害想定区域のほか、避難場所や避難経路が表示されています。

国土交通省が運営する「重ねる」では、全国の自治体が作成しているハザードマップにアクセスすることができます。住んでいる地域や職場の災害リスクを確認してみてください。

暴風は台風や低気圧などによって発生し、強い雨を伴うことが多いので、風水害に備える目的で作成された「洪水ハザードマップ」や、「土砂災害ハザードマップ」、「高潮ハザードマップ」などを確認するとよいでしょう。

風の強さと被害

暴風警報が発表される目安は地域によっても異なりますが、おおよそ平均風速20m/s(秒)です。風の強さごとの想定される被害の状況は、下記を参考にしてください。

やや強い風(平均風速10~15 m/s)

・電線や樹木が揺れ始める

・風に向かって歩くことが難しくなる

・風にあおられるため、傘をさして歩くことができない

・スピードを出して車を運転しているときに、横風に流される感覚を受ける

強い風(平均風速15~20 m/s)

・家の雨戸やシャッターがガタガタと揺れる

・看板が外れたり、屋根瓦がはがれたりする恐れがある

・風にあおられて転倒する危険がある

・スピードを出して車を運転していると、横風に流される感覚が強くなる

非常に強い風(平均風速20~30m/s)

・細い木や、根の張っていない木が倒れ始める

・屋根瓦が飛ばされたり、プレハブ小屋が倒れたりする恐れがある

・屋外では、何かにつかまっていないと立っていることができない

・風で飛ばされたものにぶつかって、負傷する危険がある

・通常の速度で車を運転することが難しくなる

・屋外での行動は極めて危険(25m/s以上)

・走行中のトラックが横転する(25m/s以上)

暴風警報が発表される平均風速20 m/s以上になると、何かにつかまらずに立っていることさえ難しく、車での移動も安全ではありません。警報が出るよりも前の強風注意報の段階で、外出を控えるなどの判断をすることが求められます。

出典:気象庁「風の強さと吹き方」

全国にある防災センター(防災学習センター、防災教育センターなど、地域により名称が異なります)では、災害の危険を体験することで緊急時に適切な行動がとれるよう、地震体験や暴風体験を行っています。警報レベルの風がどの程度か体験してみたい方は、訪れてみてはいかがでしょう。

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