【弁護士が解説】銀行口座は死亡後もそのままでいい?事例別に詳しく解説!

【弁護士が解説】銀行口座は死亡後もそのままでいい?事例別に詳しく解説!

3、遺産分割前に銀行口座からお金を引き出す方法について

前述のとおり、原則として、遺産分割前に預金を引き出すことはできません。しかしながら、故人の債務の返済や故人に扶養されてきた相続人等の生活費のために預金を引き出したいこともあるでしょう。ここでは遺産分割前に銀行口座からお金を引き出す方法をご紹介します。

(1)生前贈与を行っておく

亡くなった後に銀行口座から引き出す方法ではありませんが、名義人自身の財産を生前に法定相続人などの口座へ移しておくという方法があります。

相続対策として子どもや孫に生前贈与するケースもあります。1年に110万円以内であれば贈与税がかかることもなく、税務署への申告も不要です。

しかし、亡くなる前3年以内の生前贈与は110万円の基礎控除額に関係なく相続税の課税対象となるので注意が必要です。死亡日は誰にも予測できるものではありませんので、生前贈与を考えている場合は早めの対策を行うと良いでしょう。

(2)預貯金の仮払い制度により仮払いを受ける

改正民法は、葬儀費用や入院費などの支払いや、これまで故人に扶養されていた相続人の生活費を確保するために、亡くなった人の口座から一定金額を上限として支払いをうけることを法定相続人に認めました(「預貯金の仮払い制度」)。裁判所の手続きや他の共同相続人の同意が不要であり、銀行で手続きを行うことができるため手軽に利用できる制度ですが、払戻額の上限が以下の通り定められています。

①相続開始時の預貯金の金額×1/3×仮払いを行う相続人の法定相続割合

②1つの金融機関につき150万円

①②のいずれか低い金額の方が、上限額となります。

例えば、共同相続人が子ども2人のみで、A銀行に故人名義の普通預金300万円があった場合には、

①300万円×1/3×1/2=50万円となり、150万円よりも低額になりますので、50万円の払戻しを受けることができます。

これ以上の金額の払戻しを受けるためには、家庭裁判所で仮分割の仮処分を申し立て、その決定を受ける必要があります。

4、【要チェック】死亡前にチェックすべき銀行口座の種類

具体的に相続の手続きをしなくても、記憶力が低下する前に生前に開設した口座をチェックし、相続人と情報共有しておくことが大切です。

普通預金や定期預金の他に、総合口座、当座預金、貯蓄預金などが銀行では開設できます。証券口座では特定口座、一般口座などがあります。

開設したことを忘れている口座がないか、どこでどの種類の口座を開設したかを確認し、相続人と情報共有しておきましょう。

関連記事: