【弁護士が解説】銀行口座は死亡後もそのままでいい?事例別に詳しく解説!

【弁護士が解説】銀行口座は死亡後もそのままでいい?事例別に詳しく解説!

5、銀行口座名義人が亡くなったら

(1)銀行への連絡

銀行口座の名義人が亡くなったら、銀行に連絡します。口座名義人が亡くなった時点で口座預金は相続財産となり、相続人が決まるまで銀行が相続財産を守るため口座を凍結します。

(2)預貯金の仮払い制度により仮払いを受ける場合

故人の銀行口座が凍結されてしまうと、原則として払戻しを受けることができなくなりますので、被相続人の葬儀費用などを相続人がねん出しなくてはならなくなります。葬儀費用は高額になることもあるため、喪主となる相続人に大きな負担となってしまうことがあります。

この負担を軽減するために、預貯金の仮払い制度により仮払いを受けることができます。必要書類を持って金融機関を訪れ、手続きを進めます。

預貯金の仮払い制度を利用して仮払いを受けるためには、以下の書類が必要になります。

故人の除籍謄本、戸籍謄本又は全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
相続人全員の戸籍謄本又は全部事項証明書
払戻しを希望する相続人の印鑑証明書

金融機関により必要書類が異なる可能性もありますので、事前に電話などで確認し、必要書類を用意してから訪問すると良いでしょう。

(3)遺言書がある場合

遺言書があり、その中で口座を相続する者が特定されている場合には、その者が払戻しを手続きを行えます。

以下の書類が必要になることが多いですが、金融機関により異なることがありますので、事前にお問い合わせください。

遺言書
家庭裁判所の検認済証明書(公正証書遺言の場合または法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用されている場合を除く)
故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等及び法定相続人を確認できるすべての戸籍謄本
払戻しを受ける者の印鑑証明書
通帳(証書)・キャッシュカード

(4)遺言書がない場合

遺言書がない場合には、法定相続人全員で払戻しを行うか、遺産分割協議を経たうえで協議により承継すると合意された者が払戻しを行う必要があります。

遺産分割協議を経たうえで払戻しを行う場合には、以下の書類が求められることが多いですが、事前に金融機関にお問い合わせください。

遺産分割協議書
故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等及び法定相続人を確認できるすべての戸籍謄本
法定相続人全員と預金口座を相続する者の印鑑証明書
通帳(証書)・キャッシュカードなど

6、故人の銀行口座をそのままにした方がいいケースとは

(1)相続放棄を視野に入れている場合

プラスの財産だけでなくマイナスの財産も相続の対象となります。故人の事業を引き継ぐ場合や、どうしても相続したい財産があるといった場合を除いて、マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合には、相続人にメリットはないと言えます。相続財産にプラスの財産を超える借金があるなどの理由により、相続放棄を視野に入れている場合には、口座には一切触らず、そのままにしておく方が安全です。

(2)残高がゼロもしくは少額の場合

残高がゼロもしくは少額の場合は、解約にかける時間や労力に見合う結果を得られないことがありますので、敢えて手続きを踏むメリットがないこともあるでしょう。その場合には、特に手続きを取らないということもあり得るでしょう

関連記事: