産後クライシスに陥りやすい人の5つの特徴と対策法

産後クライシスに陥りやすい人の5つの特徴と対策法

産後クライシスは、誰にでも起こりうるものですが、特になりやすい人となりにくい人がいます。

今回は、

産後クライシスになりやすい人の特徴
産後クライシスを回避するための対策
産後クライシスが発生した場合の対処法

について、ベリーベスト法律事務所の弁護士がわかりやすく解説していきます。

産後クライシスかもしれないと思われる辛い状況に陥ったときは以下の関連記事をご覧ください。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

1、産後クライシスになりやすい人が知っておくべき基礎知識 

産後のことについて事前の対策を考えるために、まずは産後クライシスについて基本的なことを確認しておきましょう。 

(1)産後クライシスとは  

産後クライシスとは、医学上の明確な定義はありませんが、出産後数年のうちに夫婦仲が急に悪くなる現象のことを指します。具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。 

些細なことで夫に対してイライラする
夫に対して不満ばかりを感じる
夫に対する感情のコントロールが難しくなり、攻撃的になる
夫婦間の会話が減る
夫との触れ合いが苦痛となる
そもそも夫に対する愛情を感じなくなる
夫からの愛情も感じなくなる

なお、産後クライシスは妻だけの問題ではありません。夫にも以下のような症状が出ることが多くあります。 

妻が子どもにばかり目を向けるため自分は放置されているという不満を感じる
自分はいなくてもいいのではないかという孤独感を感じる
妻がイライラして攻撃的なので家ではくつろげない 

このように、夫婦がお互いに苦痛を感じて愛情が失われていく現象が産後クライシスというものです。  

(2)主な原因 

産後クライシスの最も大きな原因は、出産後のホルモンバランスの変化にあるといわれています。 

女性の体は、妊娠してから出産後数年が経過するまでの間にホルモンバランスが大きく変化し、その影響で精神的にも不安定となることがあります。

妊娠前は気にならなかったような些細なことでもイライラしたり、不安感、憂鬱感などを感じたりして、ストレスがたまってしまうのです。 

この状況に以下のような要因が加わることによって、産後クライシスが生じやすくなるといわれています。 

子育てによる生活状況の変化
子育てに対する不安
子育てからくる肉体的・精神的疲労
家事や育児に対する夫の協力が不十分
育児に対する気持ちの温度差
夫婦間のコミュニケーション不足

出産した以上は避けられない要因もありますが、妻が苦しんでいるのに夫は妊娠前と同じように振る舞おうとする、夫としても悪気はないが妻の変化に対応しきれない、といった夫婦間のズレによって悪循環に陥ることがあります。 

(3)いつまで続く? 

産後クライシスは、妻のホルモンバランスが妊娠前の状態に戻っていくにつれて影を潜めていきます。 

早ければ2~3年以内に終了することもありますが、夫が子育てに順応するまでに時間がかかることもあるので、一般的には4~5年ほど続くことが多いといわれています。 

ただ、産後クライシスの危機を乗り越えたとしても、「産後の大変なときに夫が何もしてくれなかった」ということを根に持つようなケースでは、その後も長期間、夫婦仲が改善しないこともあります。 

(4)産後うつとの違い  

産後うつとは、文字どおり、出産後の女性がうつ状態となることです。 

産後うつもホルモンバランスの変化が大きく影響して発症するものですが、気分の落ち込みや意欲の低下といった内向きの症状が中心的であるという特徴があります。産後クライシスの場合とは異なり、夫に対する攻撃性は通常、見受けられません。 

また、「うつ病」は医学上の病気であるのに対して、産後クライシスという概念は病気ではなく夫婦の問題であるという違いもあります。 

産後うつから産後クライシスに発展するケースもありますが、産後うつに陥っても夫婦仲が悪化していなければ産後クライシスではありません。 

 

2、産後クライシスになりやすい人の特徴 

出産後の夫婦でなら誰でも産後クライシスに陥る可能性がありますが、特になりやすい人(女性)の特徴は以下のとおりです。 

(1)真面目な性格の人 

真面目で几帳面、完璧主義で責任感が強いといった性格の人は、産後クライシスになりやすい傾向にあるといえます。 

産後はただでさえホルモンバランスが乱れ、心身の調子が思わしくないにもかかわらず、育児に家事とやるべきことが増えてしまいます。慣れない育児をはじめとする大量のタスクを完璧にこなそうとするとストレスや疲労がたまってしまうのも当然のことです。  赤ちゃんの身の安全は絶対に守らなければなりませんが、それ以外のことについては程々でOKと考える姿勢も大切になってきます。人に気軽に頼みごとができるような、ある程度の「図太さ」も必要となるでしょう。 

(2)家族との関係がうまくいっていない 

育児・家事のストレスに加えて家族との関係でストレスを抱えていると、産後クライシスになりやすいといえます。 

例えば、夫と赤ちゃんとの3人暮らしで、夫が何も手伝ってくれないどころか話も聞いてくれないという状況であれば、閉塞感を感じてストレスがたまってしまうでしょう。 

夫の両親と同居している場合でも、物理的な負担は軽減されても姑との関係で強いストレスを感じていれば、やはり産後クライシスに陥る危険性が高まります。 

(3)相談相手がいない 

誰でも最初は未経験の状態で育児に取り組みます。分からないことや不安なことが多々あるものです。 そんなとき、両親(特に母親)やママ友など育児経験者にすぐ相談できる状況であれば、ストレスも軽減されます。  

しかし、誰にも相談できず一人で本やネットの情報を調べるだけというように孤立した状況だと、ストレスから産後クライシスを招くおそれがあります。 

(4)長期間の里帰り(別居)をする 

出産のために里帰りなどで夫と別居する人も多いことでしょう。里帰り出産には多くのメリットもありますので、悪いことではありません。 

しかし、妊娠中から産後まで長期間にわたって里帰り(別居)をすると、夫との間で育児に対する温度差が大きく広がってしまい、それが産後クライシスの原因となる可能性があります。 

妻はどこにいても妊娠中はお腹に赤ちゃんがいて、出産後も常に赤ちゃんと一緒にいます。

それに対して夫は、別居中は独身に近い状態となり、ある意味で解放感を感じて過ごすことになります。 

夫としては、妻と赤ちゃんが自宅に戻ってきても、なかなか父親としての自覚を持てないということもあるでしょう。 

そんなとき、夫に対して自分と同等の熱量を求めても満足できる反応が得られませんので、ストレスがたまり産後クライシスに発展する可能性があるのです。 

(5)高齢出産をした 

高齢出産とは一般的に初産が35歳以上のケースを指しますが、ここでは「何歳以上」ということが問題ではありません。

出産時の年齢が高ければ高いほど、出産・育児に対する心身の負担が大きいので、産後クライシスに陥る傾向が強まるということです。 

もちろん、高齢出産が悪いということではありません。ただ、心身の負担が大きいほど産後クライシスのリスクが高まるということは知っておいた方がよいでしょう。 

関連記事: