産後クライシスに陥りやすい人の5つの特徴と対策法

産後クライシスに陥りやすい人の5つの特徴と対策法

3、産後クライシスにならないためにできること 

産後クライシスを完全に予防することは難しいかもしれませんが、原因と傾向を踏まえて対策を考えておけば、リスクを大きく軽減されることができます。 

具体的には、以下のことを検討してみましょう。 

(1)出産前から夫とのコミュニケーションを大切にする  

夫にとって出産は自分が直接経験することではないので、どうしても自分のこととして捉えきれない側面があります。そのため、出産後しばらくは育児に対する熱量が低いということになりがちです。 

しかし、出産前から夫とのコミュニケーションを密にしていれば、ある程度の熱量を移すことはできます。 

妻の方から夫に対して、今はどのような状況で、何に注意しなければならないのかを教えるつもりで話しかけるとよいでしょう。

里帰り中も毎日の電話やメールは欠かさず、可能な範囲で夫にも実家に顔を出すように誘ってみましょう。 

コミュニケーションが良好に保たれていれば、出産後に家事・育児への協力も頼みやすくなりますし、精神的負担も軽減されるはずです。 

(2)産婦人科の勉強会等でホルモンバランスについて学ぶ 

女性なら誰でもホルモンバランスが心身に大きな影響を及ぼすことは知っているものですが、それでも妊娠中から出産後のホルモンバランスの変化は初めて経験することですので、対応しきれないことがあるはずです。 

ですので、ホルモンバランスに関する知識を学んでおくことも大切です。

本やネットで学ぶのもよいことですが、おすすめは産婦人科が主催する勉強会等に参加することです。 

専門的で正確な知識が得られますし、他の参加者と親しくなれば心強くもなることでしょう。 

(3)育児に関する知識を深めておく 

初めての出産後は、当然ながら育児も初めて経験することばかりです。知識が乏しければ、多大なストレスを受けてしまいます。 

そこで、妊娠中からできる範囲で構いませんので、育児についても学んでいきましょう。

産後のことをシミュレーションすることで必要な準備を進めることができ、育児を効率よくできるようになるでしょうし、精神的負担の軽減にもつながるはずです。 

(4)出産後の役割分担を夫と取り決めておく 

育児に関する知識をつけたら、出産後に夫にやってほしい事柄をピックアップし、話し合って役割分担を決めておきましょう。 

男性の多くは家事・育児は不得手ですので、出産後にいきなり頼まれても上手にこなすことができず、自信を失って協力できないということにもなりがちです。 

妻が夫も父親として育てるつもりで、妊娠中から時間をかけて家事・育児に関する知識を共有し、「一緒に育てていく」という体制を整えていきましょう。 

(5)夫以外にも育児に協力してくれる人を見つけておく 

とはいえ、夫に完璧を求めることは禁物です。

女性から見ると男性が行う家事・育児には手抜かりがあるでしょうし、仕事を持っている夫には時間的・労力的な限界もあります。

そもそも、育児は夫婦2人で取り組んでも大変な作業です。 ですので、夫以外にも育児に協力してくれる人を確保しておくことも大切です。お互いの両親や親戚の他、気軽に相談できる友人で育児を経験している人などとコミュニケーションをとっておきましょう。 

(6)自分なりのストレス解消法を見つけておく 

万全な準備を整えたとしても、育児のストレスを完全に回避することはできません。

出産後は、ストレスを上手に解消しながら育児に取り組んでいくことも大切になってきます。  音楽や読書、映画やドラマの鑑賞、SNSなどなど、育児をしながらでも行えるストレス解消法を見つけて、可能なことであれば妊娠中から実践していくとよいでしょう。 

ストレスを解消することはホルモンバランスを整えることにもつながりますので、産後クライシスのリスクを減らすことができます。 

4、産後クライシスになってしまったときの対処法 

事前の対策に力を入れても、実際に育児が始まると産後クライシスに陥ることもあり得ます。そのときは、自分を責めて落ち込んだり、逆に夫を攻撃的に責めたりせず、上手に対処していくことを考えるべきです。  

具体的には、以下のような対処法があります。 

(1)託児所やベビーシッターを利用して自分の時間を作る 

赤ちゃんからは常に目が離せないので、育児中は自分の時間を作れないことで大きなストレスを受けることになります。 

そこで、託児所やベビーシッターの利用を検討してみましょう。ときどきは自分の時間を確保して、ゆっくり寝る、美味しいものをゆったり食べる、趣味を楽しむ、友人と会うなどしてストレスを解消するとよいでしょう。 

(2)一時的に里帰り(別居)をする  

育児による物理的負担・精神的負担に耐えがたいような場合は、無理をせず落ち着くまで里帰りをして夫と別居することも考えましょう。 

前記「2」(4)で里帰り出産をする人は産後クライシスになりやすいとご説明しましたが、里帰りには大きな負担軽減の効果があります。 

育児は母親という心強い経験者が手伝ってくれますし、ご自身も慣れ親しんだ実家でくつろぐことができるでしょう。夫も過度なストレスから解放され、平常心を取り戻すはずです。  

夫とのコミュニケーションを保ちつつ、里帰りで心身を休めるとよいでしょう。 

(3)カウンセリングを受ける 

里帰りが難しい場合は、カウンセリングを受けてみるのもよいことです。 

産後クライシスが治るような薬を処方してもらえるわけではありませんが、有益なアドバイスが得られますし、悩みを聞いてもらえるだけでもストレスが軽くなるはずです。 

できれば、夫と一緒に「夫婦カウンセリング」を受ければお互いのことを理解し合える可能性が高まります。 

(4)夫を父親教室に連れて行く 

夫が育児や女性のホルモンバランスについて無知であることも、産後クライシスの大きな原因となります。 

夫の無理解に困っている場合には、産婦人科や自治体などが主催する父親教室に参加してもらいましょう。参加を勧めるだけでは行ってくれないことも多いので、夫を連れて行くのがおすすめです。 夫としても、知らないことはできないけれど、知識を学べばできるようになることがたくさんあるはずです。 

(5)夫への愛情表現も忘れない 

夫の立場から見ると、「妻が育児にかかりきりで自分に構ってくれない」「赤ちゃんも母親にしか懐かないので孤独」といったことが産後クライシスの原因となっていることが多いものです。

寂しさから浮気に走ってしまう夫もいます。 そんな夫の立場も理解してあげて、愛情表現を忘れないようにしたいところです。  

(6)産後うつの場合は医師の治療を受ける 

産後うつは立派な病気です。産後うつから産後クライシスに発展した場合は、精神科や心療内科でうつの治療を受けましょう。 

抗うつ薬の服用などで気持ちが落ち着けば、産後クライシスがおさまることもあります。 

(7)一時的な問題として割り切る 

産後クライシスはホルモンバランスの変化による一時的な現象ですので、究極的には「気にしない」「受け流す」といった割り切りも大切です。 

民間企業による調査によれば、母親の6割以上は産後クライシスを経験しているとのことです。「自分だけが苦しんでいるのではない」ということが分かれば、気持ちが楽になるのではないでしょうか。  

また、夫が非協力的だったとしても根に持つことはやめましょう。「育児とはこういうものだ」と考えて受け流した方が、ご自身も楽になるはずです。 

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