飲酒運転(酒気帯び運転)は大きな危険を孕んでいます。
今回は、
飲酒運転、酒気帯び運転の基準と処分内容
飲酒運転で4人の罰則対象者
飲酒運転についての裁判例
などについて解説します。
交通事故の加害者について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
1、飲酒運転と酒気帯び運転の基準と違いについて
みなさんの中には、「自分はお酒に強いから、飲んですぐに運転しても別に平気だ」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、自覚のあるなしに関わらず飲酒は私たちの心身に様々な変化を起こし、車の運転にも次のような影響を与える可能性があります。
動体視力が落ち、視野が狭くなる → 他の車や歩行者の動き、信号が切り替わるタイミングなどを見落としがちになります。
集中力が鈍る → とっさのハプニングに対応できなくなります。
身体の平衡感覚が乱れる → まっすぐ運転しているつもりでも、直進ではなく蛇行運転になっていることがあります。
運動神経の麻痺 → ハンドルさばきやブレーキを踏むタイミングが遅れやすくなります。
理性の低下 → 無意識のうちに普段よりもスピードを出す、乱暴にハンドルを切るなどの行動を起こしがちです。
こういったリスクの高さから、飲酒運転は道路交通法という法律でも禁止されている行為ですが、法律上の飲酒運転には大きく分けて「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2種類があり、減点数や処分内容にも以下のような違いがあります。
(1)酒酔い運転の基準と処分内容
①基準
酒酔い運転は「アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態」で車の運転を行うことを指し、呼気中アルコール濃度などの数値的な基準は特にありません。
ではどうやって酒酔いであることを判断するのかが気になるところですが、具体的には
直線の上をまっすぐ歩くことができるか
視覚・運動機能が正常かどうか
言葉のやり取りから認知能力の低下がないか
このような検査を行うことで、「客観的に見てお酒に酔っている状態といえるか」をチェックします。
②罰則
運転免許には、過去3年間に起こした交通事故や交通違反の内容に応じて点数が加算され、その点数が一定のラインを超えると免許の停止・取消し処分が行われる制度が導入されています。
酒酔い運転を行った場合、加算される基礎点数は35点で、それまでの累積点数が一切ないケース(=現在の点数がゼロ)でも、処分は欠格期間3年の免許取り消しです。
欠格期間とは、運転免許が取消されたあと、再び免許を取得できるようになるまでの期間のことで、欠格期間3年の場合は最低でも3年経たなければ免許を取り直すことができません。
刑事罰については「3」をご覧ください。
(2)酒気帯び運転基準と処分内容
①基準
一方、酒気帯び運転のほうには「呼気1リットルあたりのアルコール量が0.15mg以上」という基準値が設けられています。
これはビール中瓶1本、日本酒なら1合、焼酎では0.6合を飲んだ場合に相当し、たとえコップ1杯のお酒でも飲むと酒気帯び状態になってしまうため、注意が必要です。
②罰則
酒気帯び運転の罰則は、呼気中アルコール濃度によって次の2段階に分けられています。
0.15mg以上0.25mg未満:基礎点数13点(90日の免許停止)
0.25mg以上:基礎点数25点(欠格期間2年の免許取り消し)
なお、( )内の罰則の詳細については前歴・これまでの累積点数がない場合の内容です。
刑事罰については「3」をご覧ください。
2、少量のアルコールなら大丈夫はウソ!
「少しくらいなら飲んでもバレない」
「1時間ほど仮眠を取れば平気」
巷でそんなふうに言われているのを耳にしたことがある方も少なくないかもしれませんが、一般的なビール500ml相当のアルコールが身体から抜けるまでには、実は約4時間もの時間がかかります。
引用:政府インターネットテレビ「その先の悲劇 絶対にしない・させない!飲酒運転」
お酒の量が増えればその分、体内でアルコールを分解するのに要する時間もどんどん増えていきますし、たとえこの図の半分程度のお酒しか飲まなかったとしても、アルコールが分解されるまでには約2時間が必要です。
さらに、飲んだあとで眠ってしまった場合、起きたままの状態よりも分解時間は遅くなることが分かっており、仮眠はむしろ逆効果であると考えることができるでしょう。
(参考)https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201312/1.html
配信: LEGAL MALL